同窓会について

筑波大学の黄順姫さんは、高校の同窓会研究で興味深い本を書いている(黄順姫2007『同窓会の社会学』世界思想社)。
今回の高校教員のデータの同窓会関係のところの分析をお願いした。
「同窓会は学校の組織ではないにしても学校と心理的・文化的・社会的・政治的な面で関連する組織であり、学校を活性化・維持していために活用できる支援組織である」と述べている(教育社会学会70回大会・発表要旨集録)
現在は、大学の同窓会のことも調べ、また筑波大学で同窓会をどのように活用するかを考え、実践もされているようだ。

私も、黄さんの高校の同窓会の分析枠組みを、大学に適用して、短い文章を書いたことがある。
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大学の同窓会といえば、外国の大学の日本人会の同窓会というものもあり、私のところにも、Wisconsin大学日本人会のニュースレターが送られてくる。懐かしい。
http://www.waa-japan.com/

大坂なおみ テニスの全米オープンの女子シングルスで優勝のこと

大坂なおみのテニスのUSオープンの優勝は日本人初ということで、テニスをやるものとしてうれしいニュースである。
ただ、実際の試合や表彰式をテレビのライブで見たわけではないが、会場ではセリーナ・ウィリアムズを応援している人が多く、大坂なおみの優勝に大ブーイングが起こり、彼女が表彰式では涙くんでいたと、インターネットでは報じられている。
日本のテレビや新聞は、そのことをほとんど報じず、大坂なおみの優勝をたたえる記事だけなのも、どうかと思う。
また、スポーツなのに、他国の人間が優勝したことにブーイングするとは,アメリカ人もそんなに狭い了見になったのかと驚く。(真実はもう少し、別のところにあるのであろうか。)

ここまで書いて、朝日新聞のデジタル版をみたら、どうも事情は少し違うようだ。ブーイングは審判に対しておこったもので、大坂なおみに対するものではないことがわかった。テニスファンがそこまで偏屈なはずがない。

大坂・セリーナ、殺気立つ観衆静めた ブーイングが一転
 アーサー・アッシュ・スタジアムが騒然となった。
 ニューヨークで行われているテニスの全米オープンの女子シングルス決勝で8日(日本時間9日)、大坂なおみが4大大会優勝23度の元世界ランキング1位、セリーナ・ウィリアムズ(米)から第1セットを奪い、第2セットも4―3とリードした場面だった。
 関係者席のコーチの身ぶりが「コーチング(指導)」の違反と見なされて警告を受けたセリーナは第5ゲームでブレークバックを許したときに、ラケットをコートにたたきつけて壊した。これが2度目の警告で、1ポイントを失った。
 さらに第7ゲームでブレークされた直後、ベンチに座ったセリーナは、ポイント剝奪への怒りが収まらず、主審に対して「私に謝りなさい。あなたはポイントも奪ったから、泥棒」と口汚く罵倒し、1ゲームの剝奪を言い渡された。
 異例の事態に、場内は主審へのブーイングの嵐が巻き起こった。結局、6―4で第2セットも連取した大坂がストレート勝ちした。
 表彰式でも当初はブーイングが鳴りやまなかったが、自身の立ち居振る舞いが恥ずかしいと気づいたのか、セリーナが審判らに憤る観客を制した。「もうブーイングはやめて。前を向きましょう」。準優勝のプレートを高々と掲げたことで、騒ぎは収まった。
 悲願の初優勝を飾った大坂に表彰式で満面の笑みはなかった。「こんな試合の終わり方ですみません。試合を見てくれてありがとう」と観衆にとつとつと語りかけると、称賛の拍手が20歳のヒロインを包んだ。場内にいた観客も、大坂の初優勝を祝福した。
(朝日新聞デジタル版9月9日より一部転載 https://digital.asahi.com/articles/ASL9944QGL99UTQP01G.html?iref=comtop_8_03 )

ニューヨークタイムには、詳細な報告がある。https://www.nytimes.com/2018/09/09/sports/serena-osaka-us-open-penalty.html?action=click&module=Top%20Stories&pgtype=Homepage
(一部転載)
A Muted Celebration
Williams and Osaka stood next to each other on the podium with the former champions Chris Evert and Billie Jean King and the U.S.T.A. president, Katrina Adams, but no one smiled at first. When the M.C. started to speak, the fans unleashed loud boos and Osaka pulled her visor over her face again, and wept.
Seeing that, Williams put her arm around Osaka and said something to ease the tension. When it was her turn to speak to the crowd, she implored the fans to stop booing and to laud Osaka’s achievement.

季節の花

時々、家の近くのホームセンターへ庭の植木鉢に植える花(の苗)を買いに行く。昨日寄ってみたが、今の季節、たいしたものがない。今は、夏と秋の境で1年のうちでも一番花がない季節なのかもしれない。
夏は、ひまわりやポーチュラカなど夏なりに咲く花がいろいろある。また秋は菊をはじめとしていろいろな花が楽しめる。
うちの庭では、夏の朝顔が今頃になって咲きはじめた。まだ夏のように暑い日が続き、大学も夏休みなのでちょうどいいのではあるが。

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社会調査の信頼性について

現在各分野でエビデンスの重要性が言われ、社会調査の重要性が高まっているように思う。
しかし一方で、個人情報保護などで調査の実査は難しくなり、サンプリングがいい加減で、回収率も低い調査が、その結果だけが注目されるような事態も多くなっている。
渋谷の街頭で100人に聞いた結果が、あたかも日本人の今の好みの実態(エビデンス)のように報道されることも多い。これでは、社会調査の信頼性はますます低下していくことであろう。

一方、社会調査の研究者は、調査の誤差を少しでも少なくするように努力している。
その一端を社会調査の専門家で、アメリカの研究動向に詳しい小島秀夫さんが、教えてくれた。例えば、調査の回収率の違いによって、項目間の規定関係に違いが出てくるという実証研究まであるとのことである。

<単純集計結果でも、回収率が50%の場合と70%の場合では結果に差が見られるといった研究もあります。こうしたことは無回答の問題として広く研究されています。回収率などによって相関係数なども変わる可能性があると思います。その結果、結論も変わる可能性があると予想されます。>
<例えば、「あなたは幸福ですが?」と質問した結果と「あなたは不幸ですが?」と質問した結果は同じになるはずですが、実際には差があります。>
<私自身は調査結果については、真値+誤差から構成されていると考えています。この真値に近いものが信頼性が高いというものです。調査の場合は誤差がありますが、その誤差をいかに少なくするかということが問題です。アメリカなどでもtotal survey error approachなどが言われています。この方法は、調査の概念化から実施、分析,結果までに存在する誤差を低減させるというアプローチですが、実際に誤差をなくすことが不可能です。そこで重要なのはいかにそれらの誤差を制御しているのかということです。調査関係の研究はアメリカの研究の影響をかなり受けています。>

幼児教育格差について

私たちの学会発表のテーマは「高校間格」の問題だったが、「幼児教育格差」という言葉あることを今日(5日)の朝日新聞で知った。

一昨日学会の会員控室で雑談を交わした小針誠氏(青山学院大学准教授)が、教育社会学の研究者らしい視点で、幼児教育格差に関して鋭いことを言っているので感心した。
 
 <経済的に厳しい家庭の子どもや障がいのある子どもには、きちんとケアできる環境を整えてほしい。そうすれば幼児教育は社会の格差を縮小する効果を生むのです。これを実現するには、諸外国に比べて大幅に低い教育への公費支出を増やす必要があります。>
<国は3歳以上の幼児教育の無償化を打ち出しましたが、理解に苦しみます。その年代の就園率は9割を超えます。無償化を進めれば高い保育料を支払ってきた比較的裕福な家庭への恩恵が大きく、浮いた金を習い事に使えば、教育格差の拡大につながりかねません。
 一方で、園の環境改善は手つかずです。日本の配置基準は幼稚園の5歳児クラスで35人以下、保育園で30人以下ですが、欧米ではその半数程度の国が多い。1人あたりの面積も日本は最低水準です。無償化より環境を整え、保育士らの待遇を改善する方が、多くの子どもの利益につながります。>(朝日新聞 9月5日朝刊より転載)

ただ幼児教育を無償にすればいいという安易な考えや、幼児に一律に育ってほしい目標を立て努力させればいいという無知な考えに、現実の子どもや社会の仕組みから警告する教育社会学研究者らしい視点を感じた。

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