ふるさとの4番(今年も)

6月29日の敬愛大学の授業で今年も、教育と地域の関係を考えてもらうために、「ふるさとの4番」を作ってもらった。学生の地域意識、国家意識や今の気持ちが作詞に表れている内容であった。
読んだ印象としては、地元の地域名はあまりであまり出てこない、田舎の良さを歌ったものは相変わらず多い、ネット社会への批判も少し。国家意識へ批判的観点は見られない、などを感じた。
藤原新也の文章を読ませているのに、ネイション意識とカントリー意識の違いに気が付いたものは皆無。かっては、大学生の作った歌詞に「空から降る 死の灰 目に見えぬ 影あり 大きな力で左右れ 見放された ふるさと」「国家に退去 命じられ 1年が経ち 再稼働 原発の悲劇 何を学んだ 変わり果てた ふるさと」「国も政府も疑い 安全に住めない 環境に置かれて 誰が帰りたいと思うか(いや、思わない)」(2012年 ブログ参照)といったものがみられたのに、今の大学生に批判的観点が欠けている。今安倍内閣への支持率が年寄りと若い人に高いというのもうなずける。きちんと批判的観点を教える必要があると思った。

ふるさとの4番(敬愛大学 1年生)

八日市場よいとこ ほどよい風が 気持ちいい カブトもクワガタもたくさんいる八日市場においでよ
成田空港で 出発 成田山で 観光 ただひたすら 楽しんで 今を忘れぬ ふるさと
私の市 市原 みなに聞かれる 市川? 千葉市民に見下され 残ったのは 田んぼだけ
田んぼ畑 広がる きれいな夕日 たそがれ 母に呼ばれ 向かうと あたたかい ご飯 ふるさと
広き青き あの海 いつになっても 戻りたい 帰ると待っている 温かい人 心休まる あの場所
山も海もふるさと 手と手とつないで 口ずさむ 星が照らす ふるさと ここが私のふるさと
人や街並みは変わりゆく 色を添える花たち 涙もさけびも 聞き入る
いつになっても 忘れぬ いつでも帰れる ふるさと 心いやす あの思い出 いつまでも変わらぬ
いつも みんな ありがとう 毎日が楽しい 夢に みんなが 出てきて どんな時も 楽しい
いつもみんなと楽しく 毎日が充実、笑いが絶えない仲間たち 忘れられない 思い出
いつも一緒にいた仲間 たくさん遊んで笑ったね 夢をみながら 頑張ったね 忘れがたき 思い出
満員電車 通学 駅から遠い 学校 長い坂道 帰りたい ふるさと
長すぎる 電車内 地味に遠い 学校 行き帰りもダル過ぎる しかたがないから がんばる
何のために 千葉まで めっちゃあつーい 死にそう ひとり暮らしも馴れてきたけど やっぱ 帰りたい ふるさと
この地のよさ気付かず 憧れ求めて都会へ ふとした時 思うは 郷の安らぎ 恋しき場は、ふるさと
ふるさとをおいて 都会へ 便利の中の 孤独感 山も川も恋しくて また1日 終わった
ひとり暮らし スマイル 鎖取れて 解放 自由に生きる私は 忘れない 田舎を
夢を追いて 都会の波にのまれて 人と比べていなくても ここも私のふるさと
日々追われて 邁進 振り返る 暇なし 安らぎは 何処へ たどりつく ふるさと
あの頃の景色は いつの間にか 消え去り 時代の波にのまれて 心の中 ふるさと
高齢化で ふるさと うちの店は ガラガラ でもすれ違うたび 挨拶かわし 月日経っても あたたかい
増えています じじばば とても目立つ少子化 近所の活気は減っていくばかり 元気になれふるさと
スマホ使い 連絡 みな集まり 下向き 画面を見て 楽しいか? スマホ依存 ふるさと
ネット社会 拡散、個人情報 ばらまく 誰かに見つかり 騙される 怖い世界 ふるさと
お金を使って また稼ぐ いくら働いても 貯まらない 貯金しようと 振り込むが 無理だった ふるさと
今は一人 核家庭 ワンオク育児に 介護する 疲れ忘れる 故郷
夢にみてた 贅沢 しかし 今は 虚無感 誰かに思われ 生きたい現代 気をしっかりもって生きよう
時代深き 富士山 ゴミの山も改善 どんどんきれいになっていくね 歴史の長き ふるさと
日本はとても良い国 差別はなし よい国 食べ物 飲料水 とても新鮮 忘れがたき おもてなし
日の丸あげて 我が国よ も待ちし ふるさと 懐かしや 兄弟よ 夢は今もめぐりて あい帰りて ふるさと
海、山、川、町、人 きれいな国 よい日々 けれど増えていく大気汚染 忘れないで ふるさと

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いいサッカーの試合であった。

結局、今回はワールドカップの日本の試合を4戦ともしっかりと見てしまった。見ごたえのあったのは第1戦(コロンビア戦)と第4戦(ベルギー戦)。
第3戦のポルトガル戦の最後のパス回しはフェアプレイの精神からみてどうかという批判がたくさんあり、そのようにも感じたが、第4戦の日本の試合はサッカーの醍醐味を感じるいい試合だった。最後にベルギー負けたのは少しだけ残念.
今回、サッカーは結果だけでないなということを、素人にも教えてくれた心打たれる日本選手と監督の活躍であった。

授業の記録(6月29日「教育原論」)

今日は11回目の授業で、あと今日も含めて4回行った後、15回目に試験をおこないます。それは7月27日です。試験は持ち込み可で、試験を機会に、もう一度テキストやプリントやリアクションに目を通して、教育について考えてください。
今日の内容は、【いじめ、愛国心、ふるさと]、というものです。あまり関係のない3題話のようにも思われるれるかもしれませんが、先週の教育の政策や行政の具体的な姿の検証です。実際はどうなのかということです。今の教育の政策や行政で、愛国心が奨励されたり、いじめの防止に関する法律ができたりしていますが、教育現場の実際はどうか、これから教員を目指す皆さんの意識はどうかということを問題にしたいと思います。

まず、前回のリアクションを見てください。新しい教育基本法で、郷土や日本を愛することが強調され、音楽科で日本のわらべ歌が多く取りあげられ,パン屋ではなく和菓子屋が教科書で登場するようになったということを説明しました。それが愛国心に関連するることです。今日は皆さん自身の愛国心のことも考えてください。
それから、いじめ防止に関連した法案に関連して、いじめの定義を説明しました。何がいじめなのか、リアクションに具体的にマンガで書いてくれた人がいて、感心しました。
いじめの定義は、いじめっ子(加害者)が言い逃れができないように、いじめっ子の意図ではなくいじめられっ子(被害者)の言い分(心理)から定義を行ったということです。これは弱者つまり被害者の側にたった定義なので、その意味で画期的なのですが、主観性(心理性)が強く、客観性が担保できるのかという問題があります。これを皆さんはどう考えますか。皆さんが加害者と決めつけられた時のことも考えてください。
これはセクハラやパワハラ(まだ皆さんはまだあまりなじみがないかもしれませんが)の場合も同じです。
またいじめに関しては、いじめられっ子に問題があるという意識が、根強くあります。これについても考えて下さい。
いじめで、被害者が自殺してしまうという悲惨なこともおきています。その際に遺書が残されていることもよくあります。いじめ自殺に関しては、さらに深い考察が必要で、どうしたら自殺を防げるのかも考えなくてはいけませんが、今日はそれに関しては資料だけ配り、考察は省略したいと思います。
次に愛国心のことも考えてみたいと思います。今ワールドカップのサッカーが盛んで、皆さんも日本のチームを応援して今日は睡眠不足の人もいるかと思いますが、サッカーの応援と愛国心は関連がありますか。
それと、自分の郷里(ふるさと)を愛するということと、愛国心とは関係があるのでしょうか。それを、いくつかの側面から考えてみたいと思います。
一つは、皆さんは千葉出身の人が多いと思うので、千葉県の特質を書かれた新聞記事を読み、郷土愛について考えてください。。
次に藤原新也の『私たちは国土と民を失った』(朝日新聞)を読んで、郷里と国との関係を考えてください。
最後に、西島央さんの童謡「ふるさと」に関する朝日新聞記事を参考に、ふるさとの4番を作ってください。

教育原論・第11回 リアクション(6月29日) いじめ、愛国心、ふるさと
1 前回のリアクションを読んでの感想
2 いじめの定義への感想(コメント)
3 「いじめの被害者にも問題がある」という意見について、どう思うか。
4 いじめの4層構造とは何か。
5 教師はいじめに対して何ができるか。
6 あなたは、自分の所属している集団に対して強い愛着を感じますか。
 1 強く感じる 2 まあ感じる 3 どちらともいえない  4 感じない
  何に対して強く愛着を感じますか→(
7 あなたの出身地はどこですか。その出身地に愛着を感じますか。それはなぜですか。
出身地→(            )    1 愛着を感じる    2愛着を感じない  
8 日本という国に愛着を感じますか。それはなぜですか。
    1 愛着を感じる    2わからない   3 愛直を感じない  
9 ワールドシリーズカップで日本のチームを応援することは、愛国心と関係がありますか。  
10  とてもある 2 ややある  3 わからない 4 あまりない  5ぜんぜんない
11 「ふるさと」の4番を作ってください。
12  他の人からコメントもらう
                                  )

リアクションの集計(回答数 42名 数字は%)

5 あなたは、自分の所属している集団に対して強い愛着を感じますか。
   1 強く感じる 28.6  2 まあ感じる 33.3 
   3 どちらともいえない 19.0  4 感じない 16.7
6 出身地に愛着を感じますか。
   1 愛着を感じる 78.6   2 愛着を感じない 16.7  
7 日本という国に愛着を感じますか。
    1 愛着を感じる 54.8  2 わからない 40.5  3 愛直を感じない 2.3
8 ワールドシリーズカップで日本のチームを応援することは、愛国心と関係がありますか。  
    1  とてもある 31.0  2 ややある 31.0  3 わからない 21.1
    4  あまりない 11.9  5 ぜんぜんない 4.8

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スポーツと年齢、仕事と年齢

スポーツの世界で活躍や活躍する人に我々一般人が惹かれるのは、スポーツが人生の縮図であるからであろう。
野球の試合を観て飽きないのは、9回までの試合が人生の縮図であり、また投手のバッター一人ひとりに対する配給やカウントにもドラマや,人生の優勢劣勢の縮図をみることができるからである。
また、最盛期を過ぎた選手が頑張っている姿は、特に同世代のものにとって、自分の姿を重ね共感を呼び応援したくなるのであろう(例えば長島茂雄の活躍に対する同世代の熱狂的応援)

ただ、勝ち負けのかかったスポーツの世界は厳しく、最盛期を過ぎた選手が出てもいいのか、疑問視されることが多い。
今の話題では、ワールドカップの日本のゴールキーパー川島 永嗣選手に関して、その間の試合のミスが指摘され、その顔つきが、往年の時の「いかつい顔の鬼のような生命力が落ちている」とも指摘されている。
勝負のかかったスポーツの世界はこのような厳しさは必要かもしれないが、一般の人の仕事や生活の部分はどうであろうか。

仕事の世界のプロ意識はスポーツと同じで、往年の緻密さや厳密さを欠くようであれば、即引退すべきかもしれない。
あるいは、アバウトが多少許され、高齢者の「まったりした(?)」で仕事ぶりが、勝負や緻密さとは別の効果をもたらされるのであれば、もう少し仕事を続けることが許容されてもいいのかもしれない。

高等教育の社会学

教育社会学では、昔はあまり高等教育の研究はなされていなかったが、21年前に教育社会学の研究者を中心に「日本高等教育学会」が出来て、それ以来高等教育の研究が盛んになっている。
最近の高等教育学会の紀要や発表題目をみると、マクロな制度的な研究が多く、私のようにマクロとミクロの接点にあることに興味があるものには少し興ざめだが、高等教育のマクロな制度に関する研究に関しては、教育社会学の研究者の発言が、一番説得力をもっているように思う。

今朝(6月27日)の朝日新聞の朝刊にも、現在教育社会学会会長の吉田文さん(早稲田大学教授)の「中教審部会が中間まとめ」へのコメントが掲載されており(下記に転載)、納得させられる。
<『2040年の大学、変わる姿 中教審部会が中間まとめ、焦点は 識者に聞く』
2018年6月27日、朝日新聞 朝刊より一部転載)

 ■乏しい新味、予算措置の提言必要 吉田文さん(早稲田大学教授〈教育社会学〉
 ――中間まとめの全体的な印象を教えてください。
 大きな社会の変化を踏まえ、長いスパンで高等教育のあり方を考える議論になると期待しましたが、何を構想しているか、わかりにくい印象です。
 私たちは大学教育のあり方がこれから大きく変わる、と危機感を持っています。例えば、学生を教室に集めて一斉授業を行うままでいいのでしょうか。教員は、専門的な知識の提供だけで済むのでしょうか。
 しかし、中間まとめは新しい内容にあまり触れず、「従来の施策を徹底すべきだ」という提言ばかりです。各大学に強みや特色を生かすよう求めていますが、高等教育システムの全体をどういう方向に持っていくのか、明確に示されていません。
 ――大学同士の連携・統合を促すため三つの案が示されました。
 三つの案も、これまでにも行われてきたことの延長上の内容です。新たな提案として「地域連携プラットフォーム」がありますが、地方自治体や地元産業界の力が強くない地域の大学ほど支援を必要としているので、どこまで効果があるのか疑問です。
 ――大学の機能分化の案も盛り込んでいます。
 機能分化(種別化)は大学の反発が強く、文部科学省では長い間タブーでした。小泉政権下の05年に中教審は「七つの機能」を示しましたが、国が押し付けるのではなく、大学が自ら選ぶという位置づけでした。一方、現在は私大の4割が定員割れし、産業界からも「大学が多すぎる」と指摘されています。今後、機能分化という形で、文科省から私大への介入が強くなっていくと思います。
 ――首相官邸が主導する有識者会議の提言も反映されています。
 官邸主導の会議では、教育をよく理解していない人が極端な提言をすることがよくあります。ですが、文科省や大学も世間が納得する論理で反論できていません。そんななか、中教審は官邸から来た政策を具体化させる機関になっているように見えます。
 ――大学にリカレント教育(学び直し)の体制を整えるよう求めています。
 方向性は賛成します。ただ、大学教育のあり方と同時に、学び直した人の社会での処遇についても再考が必要です。これからどんな社会が来るかわからないうえ、労働力も減っていくのですから。
 ――ほかに気になる点はありますか。
 改革には予算が必要ですが、「資金を充実させるべきだ」という表現がほとんど見られません。「公的支援が必要」と書く一方、「選択と集中」が強調され、印象が薄くなっています。答申では「これだけのお金がないと、改革はできない」と書いてほしいです。 (よしだ・あや 日本教育社会学会長)