「されどわれらが日々」について

学生への推薦図書で1番目にあげた柴田翔「されどわれらが日々」が、大学の入試問題に出たことがあるとのこと(添付参照)、入試問題に詳しいI氏が教えてくれた。

「されどわれらが日々」は、我々世代の必読書だったので、きっと出題の大学教師も学生時代に読み、心に残っていたのであろう。知り合いの60代の先生からも「『されどわれらが日々』に学生時代に感動したことを今でも覚えています。その後40代、60代で読み返し、柴田翔を若い頃とは違う理解ができたことを思い出しました。」というコメントをいただいている。

今の若い世代が読むと、どう思うのだろう。 学生と話し合ってみたい気がする。韓国ドラマ「ある春の夜に」の話は、長年付き合ってきたカップルが情熱を失い別れる話でもあるので、「されどわれらが日々」との共通性も感じる。その意味では普遍的なテーマを扱っているのかもしれない。

オンライン授業の質に不満

学校の隠れたカリキュラムの説明を読んで、学生から次のような感想が送られてきた。 <授業資料の中でも隠れたカリキュラムという言葉がとても印象に残った。これは生徒たちが、教室で教師から知識を伝達され実技の指導を受けるだけでなく、学校内の友だちとの関係や集団・組織・文化のさまざまな側面から学んでいるということである。私はオンライン授業が始まってから、在宅でも学ぶことができるならもう学校に行く必要がないのではないのかと,父に言われ、学校の役割は本当に勉強する場ということだけなのかと疑問を感じた。しかし、授業資料を読んで学校には勉強する以外にも多くの学びがあることに気づいた。私が経験したものでいうと、部活動などがあげられる。ここでは、目上の人に対する尊敬や、諦めない心や仲間の大切さ他にも様々なことを気づかないうちに学んでいた。>

今朝の朝日新聞の朝刊には、英米の大学もコロナの為に、授業は遠隔教育になり、英米の大学に高い留学費用を払って留学する意味が薄れていることが報告されている。その中で、学生たちの意見として、インターネットを使った遠隔授業が、教室の対面の授業に比べ、学びにくく効果がないという回答が多いということである。今、日本でデジタル(インターネット)による授業が万能のような風潮が作られつつあるが(背後に利権がらみや政治がらみの何かを感じる)、デジタル先進国の英米の学生がその効果を否定しているというデータのもつ意味は大きい。

<年750万円、留学先はオンライン授業に 渡米したのにー 世界中から多数の留学生を集めてきた米英の大学が、新型コロナウイルスの感染拡大で大きく揺れている。多くの授業がオンラインに移行し、留学生は不満を抱える。秋からの新年度をどのように迎えるかも不透明だ。収入の柱だった留学生の激減が予想されるなか、大学運営も岐路に立たされている。(中略) 米国の中西部アイオワ州にあるグリネル大学。新緑がまぶしいキャンパスに学生の姿はほとんど見られない。3年生の塩野博之さん(21)も、ガラガラになった大学寮の個室でパソコンと向き合う日々が続く。(中略) オンライン授業を受けに米国の大学に留学しているわけではない。授業のディスカッションの質は落ちた。ネット回線が不調で音声や画像が乱れることがしばしばだ。生活用品に囲まれた寮の自室では集中しにくいという。教授が空いている時間に気軽に研究室を訪ね、自由に議論ができたのにできなくなった。図書館もジムも閉まり、部屋にこもるしかない。(中略)オンライン授業の質に満足しているか。全米の約1300人の大学生、大学院生を対象にした調査では、76%の学生が「いいえ」と答えた。約1万4千人が対象の別の調査でも67%が「実際の授業ほどの効果はない」と回答。>(朝日新聞 5月24日 朝刊)

「梨泰院クラス」ロス3

ネットでも2020年のお薦めの韓国ドラマとして、前に書いた「梨泰院クラス」があがっている。その理由をみると、私の感想とほぼ同じで、「わが意を得たり」というよりは、私の感覚が凡庸なのにがっかりする。

<【あらすじ】高校生のパク・セロイは、転校初日にいじめられていたクラスメイトを見過ごせず、加害者のグニョンを殴る。グニョンの父であり、自身の父の勤める会社の会長であるチャン会長に謝罪を求められるが応じなかったことで退学処分に。その後、交通事故で帰らぬ人となった父を轢き殺した相手がグニョンだと判明。しかし権力により逮捕されなかったグニャンを殴ったセロイは不当捜査により逮捕されてしまう。数年後、刑期満了で出所したセロイは中卒・前科者のレッテルを背負いながらも、懸命に働き金を稼ぎ、ついに父の果たせなかった夢である居酒屋を梨泰院にオープンさせる。ソシオパス、婚外子、元ヤクザ、トランスジェンダーといった様々な個性をもつ仲間とともに、無謀とも思われる“飲食業トップ”を目指すセロイ。そして、チャン親子への復讐を心に強く誓う…>

<面白すぎる…!と話題沸騰!いわゆる“韓国ドラマ”っぽい恋愛要素は少ないものの、主人公セロイの下克上ストーリーに共感してドラマにハマる人がどんどん増えている本作。特に、これまであまり韓ドラを観ていなかった人や男性にもファンが多いようす。徹底的に悪者であるチャン会長と息子のグニョンが、気持ちいいまでに最低な奴なのもハマる要因かも…!? さまざまなコンプレックスを抱える若者たちが、芯の強いセロイと出会うことで少しずつ人として成長していく姿も勇気をもらえ、時に涙を誘います。ビジネスの視点からも学びが多い!という声も多数。そして、なんといっても音楽とのマッチングが素晴らしいのも本作の魅力。「あのOSTが頭から離れない…!」という人も続出しているんだとか。また、どんぐりのような髪型ですら似合ってしまうパク・ソジュンのイケメンっぷりにも注目です! https://korea.kaigai-drama-board.com/posts/21?p=9

下記のOSTには232万回の視聴がある。他の曲は、679万回、1317万回のもあり、sweet night は2796万回という信じられない視聴数である。

https://www.youtube.com/watch?v=guhRIcHQikM

韓国ドラマ「ある春の夜に」を観る

ネットフリクスで放映されている韓国ドラマ「ある春の夜に」全15話を見終わった。少し前に見た「梨泰院クラス」とはまた別の意味で、よくできたドラマだなと思った。今、韓国のドラマは、皆このようレベルのものなのであろうか。日本で今このレベルのテレビドラマは作られていないのではないか。

韓国の若い人(30歳代)が主人公のドラマで、日本では昨年の7月にネットフリクスで放映されている。中身は、韓国の若い人の恋愛ドラマで、恋愛の障壁になるライバルや家族関係などさまざまあり、二人の心も揺れ動き、見ていてハラハラする。ヒロインの韓国女性(ハン・ジミン主演)が、知的で、勝ち気でありながら、心優しいために悩み、相手の男性(チョン・へイン主演)もとてもさわやかな優しい青年である。見ていて、二人の関係がほほえましく、応援したくなる。演技が自然で、ドラマの見ているというよりは、知り合いの若いカップルを見ているような気になる。

惹かれあった二人の会話が、スリリングで面白い。日本人の会話とは何か違うような気がする。そこが韓国ドラマの面白さなのかもしれない。ただ、何が違うのかは明確にわからない。表面的などうでもいい会話というものが少ない。一つ一つの言葉に皆深い意味がある。発した言葉で、相手が驚くと、それは「冗談」と打ち消すことがしばしばある。そのようなことでシリアスなことをさりげなく言うことも多い。ホンネで話すので、その発せられる言葉で、相手が傷つき突然怒りだし、二人の関係が危うくこともしばしばある。とにかく会話に緊迫感がある。でも相手が好きだということが、言葉や表情から伝わってくる。それだけ演技がうまいのかもしれない。

韓国の若い人にとって恋愛は大きな価値で、運命の人との出会いという言葉もよく出てくる。親世代の結婚生活はあまりいいものとして描かれていない。今の韓国でも、結婚には親の許可が絶対必要のようで、結婚の許可を親から得るのが大きなテーマになっている。

バックの音楽はたくさんのOSTが流れる「梨泰院クラス」とは違って、「ある春の夜に」は、数少ない同じ主題歌が何度も流れる。二人の関係が危機に陥りそうな時、逆に深まる時など、ハラハラする場面で主題歌が流れ、とても効果的である。(下記参照)

https://k-drama.ch/harunoyoru-info/

ドラマ&歌の感想

・one of the best dramas so far, makes me feel strong emotions even when the actors remain silent and just stare into each other’s eyes ../  I fell in love with this song since I heard being played for the first time./  this drama makes me feel so intensely, i can’t even comprehend how deep this drama is in showing emotion ️/ One of my fave dramas, Evah. Wonderful romance and musical score. Great lead chemistry. / Despite the fact that grows older, those kinds of dramas make me feel emotional… especially with such nice background music in the rain at night./ It’s finally here!!! Thank you for uploading. This drama has the best OSTs so far…/Falling in love for this song like the way they fall in love each others/  Everytime i heard this it felts like I’m in kdrama scene../ I had searched for this song thousand time and here it is finally :/I love the storyline perfect for jung hae in and han ji minand the ost of this drama/ Love this song is so romantic and sad ♥️/

敬愛大学教育こども学科の1年生に薦める本

私の授業を遠隔で受講している新入生に、学生生活の送る上で参考になる本をいくつか推薦した。今の大学生はあまり本を読むことはないと思うが、コロナで自宅に籠ることの多い今の時期こそ、読書のチャンスと思う。読書は能動的な行為であり、流れてくる情報を受け身で受けとめるテレビ視聴などとは違う、達成感がある。 

1 柴田翔『されどわれらが日々』(1964年、文春文庫)         

半世紀以上前になりますが、私たちが大学生になった時の必読書でした。恋愛や学生運動がテーマで,未知の世界のことで、ドキドキして読んだ覚えがあります。今は古すぎるかもしれませんが、かえって新鮮かもしれません。この作品は芥川賞を受賞してものです。その後それぞれの時代を象徴する青春小説が、芥川賞を受賞しています。庄司薫『赤ずきんちゃん気を付けて』(1969年)、三田誠広『僕って何』(1977年)、田中康夫「なんとなくクリスタル」(1980年)と続きます。

2 夏目漱石 『三四郎』 
  これはもっと古い明治の時代の話ですが、地方から東京に上京してきて大学生活を始めるウブな三四郎の大学での生活や失恋の話で、今読んでも感銘することも多いことでしょう。名作です。夏目漱石には、失意の時に読むと、心慰められる作品が多くあります。(三四郎は青空文庫で読める。 https://www.aozora.gr.jp/cards/000148/files/794_14946.html )

3 重松清 『きみの友だち』(新調文庫)
 これは敬愛の学生からすすめられて読んだ本で、読みやすく、その後私は重松清の本を何冊か読みました。小学生が主人公で、友人関係やいじめのことが、子どもの視点から書かれている小説で、教育学や心理学の本以上に、子どもの心理がわかると思いました。

4  村上春樹『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』(文藝春秋)
 高校時代の5人の友人グループ(男3人、女2人)の高校生活とその後を描いたもので、主人公のつくる君がなぜ他の4人から排除されたのかの謎解きのミステリーの話で、一気の読める本です。村上春樹については、人により好き嫌いがあると思いますが、今日本で一番有名な作家なので、1冊は読んおきたいものです。初期の短編も読みやすくミステリアスですし,エッセイはおしゃれで心温まります。。

5 カズオ・イシグロ 『わたくしを離さないで』(ハヤカワ文庫)
 ノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロの代表作です。舞台は イギリスの全寮制の学校生活とその後ですが、人とは何かを深く考えさせられます。少し哀しい話ですが、心に残る小説です。

その他にお薦めしたい本はたくさんありますが、皆さんに一気にお薦めしても、困惑されるだけだと思いますので、今回はこれで止めますが、1冊でも読んでいただけると嬉しいです。(学校や大学生活に関する本ばかりになりましたが)