放送大学の院生の研究テーマ

昨日(11日)は、放送大学の岡崎研究室の修士論文の中間報告会があり、出席して、報告を聞かせてもらった。院生は皆職業を持ちながら、修士論文を書こうとする意欲の高い人ばかりであり、その研究テーマはいまの職業に関連することが多く、興味深い。

 看護専門学校で教員している院生は、看護学校に入ってきている発達障がいの学生をどのように指導していったらいいのか、というテーマ。
 歯科技工分野の教員の院生は、そのインスツメントの持ち方がおかしい学生を、箸の持ち方から指導して、矯正していく方法の研究。
 学校で養護教諭をしている院生は、いかに地域保健と連携して、児童生徒の保健指導を行っていくかの実践的研究。
 中国の大学で長く日本語を教えてきた院生は、中国の学生の就職難を見て、中国の大学で就職支援・キャリア支援をどのように行えばいいのかという問題意識を持ち、日本やアメリカの大学のキャリア支援の歴史も調べ、それぞれの国の大学や学生事情から、その方策を探る研究。
 小学校の教員の院生は、新聞(NIE)を使っての「PISA型読解力を向上させる指導法の研究」。
 同じく小学校教員の院生は、家庭的に恵まれない子どもを学校や教師がいかに支援していくかの研究。優れた事例から学び、実際関係する学校での取り組みも検証する研究。
 公民館活動に参加経験のある院生は、公民館の「話し合い学習」が、現代的「市民的公共性」を養成するうえでいかに有効かの研究。それには①「親密圏」の両義性(現代的意義と閉鎖性)、②「市民的公共性」のアポリア(合意形成か多様性の創出か)の問題があるという。「企画運営会議」に市民を募り、その企画に基づいた「話し合い学習」(テーマは、たとえば「働くことの意義」)を外に開かれた新しいメンバー(企画者もメンバーの一人として参加))が開かれ、上記の両義性やアポリアを乗り越えていく試み。

 自分の職業体験からくる問題意識には、確かなものがあり、教えられることが多い。