谷川彰英先生の『地名に隠された「東京津波」』(講談社α新書2012年)があり、地名により東京のどこが危ないかがよくわかる。
今回災害が起こった広島県の八木地区は、「八木蛇落地悪谷」(やぎじゃらくじあしだに)が元の地区名で、その後「八木上楽地芦谷」(やぎじょうらくじあしや)に改名され、さらに現在の八木となったという。
<「蛇(じょう)」が「上」(じょう)」となり「落」が「楽」となり「悪(あし)」が「芦」と改名され、縁起の悪い文字をことごとく縁起の良い当て字に変えている。
言葉を言い換えてもその現実が一向になくなるわけではない。 まった同じ現実がそこにあるわけだ。というよりむしろその現実と等価な言葉を失ったがゆえに、現実認知手段や能力を失うという危ないことが起きてしまう。>(藤原新也)
このことは、ラベリング理論や構築主義理論の限界をよく表している。ラベリングや人の認識を変えても、客観的な現実は変わらず、現実乖離が危機を増幅する場合がある。