「わたくしにとっての上智大学」

上智大学で同僚だった香川正弘先生は、最新の「ソフィア」(236号)に、「私にとっての上智大学」というエッセイを寄せている。なかなか含蓄のある内容であった。印象に残った3点を抜きだし、コメントを付して置く。
1 (上智大学で)「授業をすることによって、教える側が視野を拡大し成長もできたのは、学生に基礎学力があり、学ぶ心ができたいたことと、全学的な教育体制が学生を成長させているからであると思う」と書かれている部分には、共感した。
ただし、上智に学生を成長させる全学的な教育体制が意図的に作られていたかどうかは疑問。優秀な学生が集まり、学生を成長させる雰囲気(文化)があったことは確か。
2「ある時、官庁の人から、審議会や委員会では、東大、早慶上智は委員長にしていいことになっていると説明をされたことがある」とある。
同じようなことを私も聞いたことがある。これは過去の上智の教員の実績によることなのか、その理由を知りたいと思った。ただ、このような暗黙の取り決めがあるとすると、上記四大学以外に失礼だし、人的ロスもかなりあるのではないかと思った。
 3 「もっぱら大学開放の観点からののみの発言であった。しかし、それもたいてい受け入れられないので、三つの職場とも学内では黙っているという状況で終わってしまった」 
これは、香川教授が一番無念であったことのように思う。なぜ、香川教授の大学開放の理論が、「コミュニティカレッジ」の伝統のある上智大学でも生かされなかったのか、今後考えてみたい。