放送大学・特別番組「フォトジャーナリストとは何か」(12月22日)もいい番組だった。
これは、フォトジャーナリストの広河隆一氏へのインタビュー番組であったが、フォトジャーナリストについてはじめて知ることができた。フォトジャーナリストは、いい報道写真を撮るだけでなく、その写真で何を訴えたいのかが大事、ということを言っていたように思う。
氏は、チェルノブイリには20回近く行っていて、東北の3.11の地震があたっ時、すぐその日のうちに車で福島に向かったという。福島原発の近くの村(町)で、持っていった放射線探知機で放射線量をはかると、数字が振りきれてしまい、驚愕したという。その時、政府は安全宣言を出し、帰宅を住民に許可していたので、多くの人が、危険なことを知らず、家に帰ろうとしていたという。氏は、車を道路に停め、住民に危険を知らせることに奔走し、報道写真を撮るどころでなかったという。報道写真を撮ることより、人々に危険を知らせることを優先する氏の姿勢に、フォトジャーナリストのあり方を見た気がした。
これは、科学者や、我々教育の研究者にも、つきつけられた問いのよう気もした。研究者は、教育現場の当事者であるよりは、現場に影響を与えず客観性を優先することが多い。そのような姿勢の意味が問われていると言ってよい。 科学者、研究者は、客観性という名のもとに、何を守ろうとしているのであろうか。。
広河隆一氏のプロフィールは下記((http://info.linkclub.or.jp/nl/2008_04/pdf/P07-10.pdf)
早稲田大学教育学部卒業後、イスラエルに渡り3年間生活する。70年に帰国以来、フォトジャーナリストとして中東各地を取材する。レバノン戦争とパレスチナ難民キャンプの虐殺事件の記録で82年によみうり写真大賞を受賞する。チェルノブイリ原発事故や薬害エイズなどの取材でも知られ、89年チェルノブイリとスリーマイル島の原発事故の報告で講談社出版文化賞を受賞。著書に『ユダヤ国家とアラブゲリラ』『パレスチナ難民キャンプの瓦礫の中で』(共に草思社)、『日本のエイズ』(徳間書店)、『チェルノブイリの真実』(講談社)、『人間の戦場』(新潮社)など多数。フォトジャーナリズム月刊誌『DAYS JAPAN』の編集