国際共通語としての英語

中央教育研究所 報告書NO 103『現代の教育課題を読み解く』の第2章で、加藤幸次・上智大学名誉教授は、 「自分英語(マイ・イングリッシュ)」の世界を創造する―国際共通語としての「日本英語」への扉を開く―」という興味深い論稿を書かれています。その要約を加藤教授は、下記のように書かれています。

<日本人は、いつまでイギリス英語とアメリカ英語を「スタンダード英語」として拝み立て続けるつもりでしょうか。「世界共通語としての英語」は、すでにとっくに、土着化し、多様化しているのです。母語を日本語として育ち、日常生活で母語しか使わない日本人いとって、「スタンダード英語」は遠すぎです。日本はFar Eastに位置します。Farなるがゆえに、スタンダード英語が崇められ、日本人は英語に対してビクビクし、オドオドしてしまっていないか。世界的な会議では、それぞれ“お国訛り”の英語が飛び交っているのです。日本人の耳はその“お国訛り”の英語が聞き分けられないだけのことです。そろそろ、日本人訛りの「自分英語」、日本の文化や思考を反映した「日本英語」づくりを始めるべきではないか。グローバル世界に向かって、堂々と、「自分英語」で自分の考えを発信していくべきでしょう。英語は二の次で、内容が第一です。>(https://chu-ken.jp/pdf/kanko103.pdf

日本の教育現場の英語教育はどのように行われているのでしょうか。その報告はいろいろなところで行われていると思いますが、ここでは、日本の学校現場に派遣されるALT(外国語指導助手)の国籍別のデータをみておきたいと思います。下記のように、欧米だけでなく、フイリッピン、南アフリカ、ジャマイカ、ベトナムなど、アフリカや中南米、アジア諸国からのALTの派遣も多くなっています。つまり、加藤教授の指摘する「世界共通語としての英語」が、日本の英語教育の(発音)指導者にも浸透していることがわかります。英米の「スタンダード英語」の発音を教えることは不必要と考えられている節(ふし)があります。

<JET外国語指導助手プログラム参加国―JETプログラムへの応募方法については、母国にある日本大使館のウェブサイトをご覧ください。日本大使館、総領事館については外務省のウェブサイトをご参照ください。英語圏出身の(ALT)はJET参加者の多数を占めています。また、非英語圏出身の外国語指導助手(ALT)もいます。令和6年度にJETプログラムは世界51か国から参加者を迎えています。         

   ALTの参加人数(総計5,373)の詳細はこちら(2024年7月1日現在)

アメリカ合衆国 2,885、イギリス   702、カナダ528、フィリピン共和国 334、オーストラリア連邦264、南アフリカ共和国 181、ニュージーランド170 アイルランド104、トリニダード・トバゴ共和国69、シンガポール共和国51、ジャマイカ45、ベトナム社会主義共和国28    ドイツ連邦共和国20、以下略 https://jetprogramme.org/ja/countries/?utm_source=chatgpt.com