生涯学習に関して生成AIに質問する(その3の2)

生成AIに関しては、まだよくわからない点が多い。特に、どのようなメカニズム(過程)を経て、尋ねた質問に対するか回答が出てくるのかが不明である。その為、その回答の真偽はその過程を吟味することからは得られない。出された回答から判断するしかない。今回、生涯学習に関して「その3」として聞いた質問のBing Chat の回答が、1回目と2回目以降で違っていた。同じ質問をして、違う回答が出てくる理由がわからない(時間の関係か。 1回と2回目以降では2時間程度の差がある)。「その3」の2回目以降の解答と、その引用文献をあげておく。(チャトGPTでは、引用(参照)文献は上がってこないが、Bing Chatでは、引用文献が表示される。Bing Chatの回答が引用文献の記述にかなりよっていることが推察される。そしてその引用文献が、大学の紀要や学会誌のようなかなり専門的な文献(しかもWEBで公開されているもの)であることが多い。

質問(自分)―イギリスの生涯学習は、労働者階層の為の教育という説を読んだことがあります。それはどのようなことでしょうか。それは日本の生涯学習に何か、示唆を与えてくれますか?

Bing Chat(2度目以降)の回答

イギリスの生涯学習が労働者階層のための教育とされる背景には、歴史的な文脈があります。19世紀のイギリスでは、労働者階級の教育は主に社会統制の手段として利用されていました。これは、労働者階級が社会秩序に適応し、資本主義社会の一部として機能することを目的としていました1。そのため、教育は労働者階級に対する「再教育」としての役割を果たし、彼らの文化や生活習慣を変えることを目指していました1。/現代のイギリスでは、生涯学習は「ゆりかごから墓場まで」の継続的な学習を指し、個人のキャリア開発や再教育、地域社会の強化などを目的としています2。特に、成人教育や職業訓練が強調されており、資格取得や就業に直接結びつかないインフォーマルな学習も支援されています2。/ 日本の生涯学習に対する示唆としては、以下の点が考えられます:①社会的包摂:イギリスの生涯学習は、社会的に排除されがちな人々を包摂するための手段としても機能しています。日本でも、地域社会の強化や社会的包摂を目的とした生涯学習プログラムを展開することが重要です。/ ②多様な学習機会の提供:イギリスでは、フォーマルな教育だけでなく、インフォーマルな学習も重視されています。日本でも、資格取得や職業訓練だけでなく、個人の興味や地域のニーズに応じた多様な学習機会を提供することが求められます。/ ③政策の一貫性:イギリスの生涯学習政策は、政府のビジョンに基づいて一貫して展開されています。日本でも、長期的な視点で生涯学習政策を策定し、継続的に支援することが重要です。/ これらの点を参考にすることで、日本の生涯学習もより充実したものになるでしょう。

引用文献(詳細情報)

  1. https://core.ac.uk/download/pdf/59180988.pdf (上野耕三郎「19世紀英国の労働者階級文化と教育態様についてのノート」(人文研究 第73号)
  2. https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2011/07/29/1308856_5.pdf,(第三章 「イギリスにおけるICTの活用による生涯学習支援)/
  3.  松塚俊三「イギリス労働者階級の自伝と独学の文化」(日英教育研究フォーラム 2020年24号
  4.  https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/287617/1/sse_024_018.pdf 藤波明志「教育はいかにイギリス社会の分断に寄与したか」(『教育、社会、文化研究大24号』

補足

イギリスの生涯学習の特質と日本への示唆に関して同じ質問をしても、違った回答が返ってくる理由について、Bing Chatに直接聞いてみた。以下がその回答。

イギリスの生涯学習に関する質問に対して異なる回答が出てくる理由は、以下のような複数の要因が考えられます。/ 1. 視点の違い  ①経済的視点: 一部の回答は、労働者階級の経済的向上を目的とした教育政策に焦点を当てています。例えば、職業訓練やスキルアップを通じて労働者の社会的・経済的地位を向上させることを重視しています1。② 社会文化的視点: 他の回答は、労働者階級の文化的・社会的な側面に焦点を当てています。例えば、コミュニティの強化や市民参加を促進するためのインフォーマルな学習(資格取得や就業に直接結びつかない学習)を重視しています2。/ 2. 歴史的背景ー①19世紀の労働者教育: 19世紀のイギリスでは、労働者階級の教育は主に社会統制の手段として見られていました。この時期の教育政策は、労働者を「道徳的に改善」し、社会秩序を維持するためのものでした3。② 現代の生涯学習: 現代のイギリスでは、生涯学習は「ゆりかごから墓場まで」の継続的な学習を指し、個人のキャリア開発や社会的包摂を目指すものとして広く認識されています1。/3. 政策の変遷 労働党政権の影響: 1998年のブレア労働党政権時代には、「学習社会の構築」を目指し、生涯学習が積極的に推進されました。この政策は、労働者階級を含むすべての国民が生涯を通じて学び続けることを奨励するものでした1。/4. 多様なアプローチ: イギリスの生涯学習政策は、フォーマルな学習(職業訓練や資格取得)とインフォーマルな学習(コミュニティ活動や趣味の学習)の両方を含む多様なアプローチを取っています2。/ 日本への示唆 日本の生涯学習に対する示唆としては、以下の点が考えられます:①多様な学習機会の提供: イギリスのように、フォーマルな学習とインフォーマルな学習の両方を重視することで、幅広い学習機会を提供することが重要です。②社会的包摂の促進: 労働者階級や他の社会的に弱い立場にある人々が学び続けることを支援する政策を強化することで、社会全体の包摂を促進できます。/ 異なる回答が出てくる背景には、これらの多様な視点や歴史的背景、政策の変遷が影響していると考えられます。