日本子ども社会学会の30回大会が、来る6月29日(土)と30日(日)に、目白にある日本女子大学で開催される。そのプログラムが学会のHPに掲載されている。非会員でも当日会員として参加できる。https://www.js-cs.jp/wp-content/uploads/conf2024_program.pdf
さらに「発表要旨集録」もWEBで公開されている(https://www.js-cs.jp/wp-content/uploads/jscs2024_proceedings.pdf)
以前に、別の学会の参加記を匿名で書いたことがある(下記)。それはオンラインで開催された学会であったが、来週末の「日本子ども社会学会大会」の開催は対面での開催。今回はどのような発表があり、どのような感想を持つのであろうか。
〇 先日、久しぶりに教育関係の学会の大会に参加した。大会は新型コロナウイルス禍のため、対面ではなくオンラインで開催された。オンライン開催の学会は遠方の会場に出かける手間も省けるし、パソコンの画面越しであるが発表者の話を近距離で聞くことができ、資料もダウンロードでき、質問もできる。〇 学会は参加者が日頃の研究成果を限られた時間に集約して発表するものであり、それはアスリートが競技大会で実力を発揮するのに似て、その集中度は高く、参加者はその高い密度を共に経験する貴重な場である。〇 それぞれの分野の最先端の研究成果が報告される。旬な若い研究者の発表を高齢の研究者が聞く場合も多い。個人の中に蓄積されていた知識が他者と交わり共鳴し新たな知識が生まれいく。これこそ学会の醍醐味である。〇 時に、発表者の忙しさから手抜きの発表がなされ、失望される場合もある。また研究レビューを怠り過去の研究の繰り返しがなされる場合もある。有名になった若い研究者が饒舌で自己完結的で、開かれた知の体系の提示が薄れたという年配者からの苦言もある。〇 この教育関係の学会の参加者は大学の教員が多く、現場教員や実務家(文部科学省、教育員会職員等)の参加は少ない。それはなぜだろう。議論が抽象的で、教育現場の実態と懸け離れ、日々の教育実践や教育改革に役立たないせいかもしれない。学問は学問のためでなく生きている人間に直接何か益をもたらすものという自覚が欠けているのかもしれない。〇 一方、教育実践者も、時に日ごろの現場を離れ、教育や子どものあり方を根源的あるいは広い見地から考えることも必要である。それは理想やイデオロギーから教育を考えることとも違う。歴史的、実証的なデータ(エビデンス)に基づいて、教育の現実を直視し、因果関係を確認し、今の教育実践や教育政策に何が必要か必要でないかを客観的に考察することである。外国の事例も参考になる。既存の制度や教育観、教育方法の再考も迫られる。〇 今の日本の教育の世界では人の心理が重視される。人々の認識を変えれば教育や社会が変わると考えられている。しかし「新型コロナが終焉したと人々が思い込む」ことと、「新型コロナが終焉した」という事実は違う。大切なのは事実にもとづく実践や政策である。〇 教育行政者は教育の現実をリアルに把握し、現場教員のミクロな視点や実践と、研究者のマクロな視点や理論とがコラボ(連携)して、教育の改革・改善がはかられる必要がある。(「教育の研究と実践の連携を」2022年6月30日)