名越清家『教師の四季―生徒と共に創る人生』(2023)を読む

友人の名越清家さん(福井大学名誉教授)が「教師のマイナス面ばかり過剰に指摘される現状の中」で、教職は、「創造的で個性的な職業」であることを、9人の元教師の「私の教員生活」の文章を紹介し、それに教育社会学的な考察を加えた、教職を目指す学生への「応援メッセージ」の本を出版し、贈っていただいた。名越さんには、下記のような礼状を書いた。

<今回のご著書『教師の四季―生徒と共に創る人生』(三恵社、2023。9)に対して、いろいろ知り合いの方から称賛の言葉が届いていることと思います。私も読み終えて、名越さんの学識と人間性が集約された素晴らしい本だなという印象で、このような本を出版できるということを、大変うらやましく思います。全体に読み易い言葉で書かれていますが、名越教育学、教育社会学、名越教師論の見方がさりげなく導入され、論理的で、創造的で、且つ実践的な分析、提言がなされていると思いました。同時に、名越さんが若い頃に感銘を受けた宗像教育学のエッセンスを受け継ぎ、教育の理想を実現しようという強い意思が、一貫して感じられます。それが本書の中で、具体的にさまざまな事例の中で論じられています。9人の元教師たちの「私の教員生活」も、それぞれ読み応えがあり、教員の仕事の苦労と同時に、その素晴らしさを実感できます。匿名で書かれているので、思い切ったことが書けたということ面もあると思います。小中高の先生方は成長期の児童・生徒との関り、教育には、独自のやりがいのあることも感じます。この9人の先生方の文章はどれも読み易く、さまざまなエピソードが綴られています。これらの先生方の文章を随所に引用しながらの、名越教育論の提言、まとめも見事で、読んだ人に感銘を与えるものになっています。以上のように、長年、福井大学で教鞭をとり、福井県の教育政策や教育実践に関わってきた名越さんだからこそ書けた素晴らしい本だと思います。細かい論点の感想は、またの機会に書くことにして、出版のお祝いと御礼を申し上げます>