いつも不思議に思うのは、インフォーマルな会話や懇親会では、話題はどのようにして決まるのかということである。 フォーマルな会や会議では、議題というものがあり、そのことを話しあうという合意があらかじめなされているので、そこから外れることはめったにない。
それに対して、インフォーマルな会話や懇親会の話題は、誰かが用意しているわけではなく、その場で何となく決まるように思われる。そこにどのような力学が働き、話題が決定されるのか、いつか探ってみたい。偶然以外の何物でもないかも知れない。
先日参加した懇親会では、「道徳と宗教の関係及び宗教」のことが終始話題になった。
私にとって、道徳も宗教も苦手な話題なので、終始聞き手に回り、ひたすら料理を味わい、ワインを飲み、話を聞かせてもらった。
「『日蓮』という優れた小説がある。これは、法然を否定する日蓮と念仏信仰の源空丸との人間愛がテーマ。佐渡まで訪ねてきた源空丸の最期の時、日蓮は「南無阿弥陀仏」と唱える。宗派を超えたところに日蓮の生の人間としての本質を見ることができる」
こんな高度なことが、飲みながらでも、偶然 話題になる。