どのような事情によるのか分からないが、近所で満開の桜の花の枝の剪定を、植木屋さんがやっているのに遭遇した。やっと満を持して満開になったのに、切られてしまう花と枝は気の毒で、枝の剪定をするのを、花が散るもう1週間ほど待てなかったのかと思った。きっと何らかの事情があったのであろう。枝を切っている植木屋さんも、桜に悪いことをしているという気持ちがあるのか、花を丁寧に扱い、同じくらいの長さに切った枝を並べて、持っていきやすそうにしていた(ただ、そこは人通りの少ない裏道で、持っていく人はほとんどいない)。「少しもらっていいですか」と聞いてみたら、「いくらでもどうぞ」と、植木ハサミまで貸してくれた。
そこで、約30本くらいの桜の木の枝をもらい、2回に分けて自転車に積み、家まで持って帰った。それから近所の家に、桜の花(枝)はいらないか聞いて回った。公園で遊んでいる知り合いの子ども(小学生)にも、「桜の花(枝)がいらないか、家の人に聞いて来て」と頼んだ。
その結果、喜んで桜の花をもらってくれた家が6軒、「1-2本だけなら」という家が2件(これは子どもを通して聞いた家)、「いらない」と断られた家が3軒であった。私の感想は、花が好きでない人も意外といるのだということである。部屋に花を飾ることを好まない、花を飾ることしない人がいるということ自体が少し驚きであった。ただよく考えると、直ぐ枯れて散らかってしまう花は部屋に置かない、それより高価でセンスのよい調度や絵画を部屋に置いて、スッキリした生活を送りたいという人がいてもおかしくない。私は少しおせっかいなことをしたのかも知れない。ただ、何軒かの家で、満開の桜の花(枝)が咲き、花がしばし生き延びたのであれば嬉しい。