セラピー犬について

犬が人の癒しになるのはなぜだろう。癒す側の犬にとって、癒しの役割をどのように感じているのだろう。昨日(27日)の、病気の子どもを癒すセラピー犬を扱っていたNHKスペシャルを少し見て、そのようなことを考えさせられた。(子どもの病気の様子は痛た痛たしく、番組をながく見ていられなかったが)

犬が病気の子どもの癒しになるだけでなく、犬はすべての人の癒しになるのであろうし、犬だけでなく猫も、他のペットもそのような役割を果たしているのであろう。ただ、病気で苦しむ子どもに毎日向きあう犬(番組で紹介されたベイリーは、9年間で3000人以上の子ども関わったという)はどのような気持ちなのであろうか。

犬だけでなく、人の場合も、病人や介護老人と関わる仕事をする人というのは、偉いなと思う。教え子の中には特別支援の教師になりたいという若い人もいて感心する。ただ、それは同情というようなことではなく、障害や病気や高齢ということは一つの特質であり、そのような人と向かうということは、特別なことではないと感じているのかもしれない。それは一つの仕事でありながら、感謝されることも多く、やりがいを感じることであるのかもしれない。

ただ、人の辛い状況に毎日付き合うというのは、心が折れそうになることはないのであろうか。 カズオ・イシグロの小説に『私を離さないで』という心打つ名作があり、人に臓器を提供したり、その臓器を提供する人を介護する仕事に就く人の心情を描いたものがあるが、その心情を思いやると、なんとも言えない気持ちに襲われる。人生というものは(犬の一生も)、このような哀しみを抱いて生きていくものかもしれないと思った。(番組の紹介は下記。)

<NHKスペシャル(1月27日)―神奈川県立こども医療センターには、医療現場に常駐するセラピー犬、ベイリーがいる。長期入院で気分が沈みがちな子どもに寄り添い心をいやしたり、手術室に行くのを嫌がる子どもに付き添ったり。ベイリーが関わった患者は9年間で実に3000人以上。ベイリーに始まった医療現場へのセラピー犬の本格的な導入は、今、全国の医療機関へと広がりを見せている。リハビリの現場にセラピー犬が参加すると、患者の回復が早まったり、自閉症児のコミュニケーション能力が向上したりするケースがあることが注目されている。今回、番組では、重い病と決別するため、大手術を受ける少女、ゆいちゃん(10歳)とセラピー犬ベイリーが、心を通わせながら様々な苦難を乗り越えていく日々を追う。さらに、最新科学は『なぜ犬が人間の心を癒やすのか?』その理由を解き明かしつつある。人と犬の間には、種が違うにもかかわらず『互いに愛情を感じ、心を癒やし合う仕組み』が確かに存在することが分かってきたのだ。それは、人と犬が共に歩んだ3万年の“共進化”が生みだした奇跡の絆だった。犬好きの方!必見です。http://www6.nhk.or.jp/special/detail/index.html?aid=20190127