教育の素人が決める教育政策の危うさ

教育は誰もが受けてきたことなので、誰もが一家言もっている。とりわけ功成り名を遂げた人は、「自分のように偉い人間になれたのは受けた教育のせいでありその教育の方法で万人を教育すればいい」と考え勝ちである。

政府の教育関係の審議会は、上のような考え方に立ち、委員のほとんどが教育以外の分野で功成り名を遂げた人(社長、芸術家、タレント、学長等)であり、教育の研究者が入ることは少ない。
教育のこと管轄する文部科学省の官僚も、大学で教育学を学んだものは少なく、政治や経済が専門のものが多い(確か国家公務員試験の教育職で試験を受けても文部科学省に入れない)。さらに、最近は、文科省の官僚が入試の不正に関わったり、文科省の信用はガタ落ちである。
このような状況の中で、国の重要な教育政策が、教育の専門家抜きで、全くの教育の素人の考えで、しかも上から決められていることに、危惧を感じる教育関係者は多い。
教育政策が、文部科学省ではなく、内閣府主導で提言され、それが専門家の意見も聞くことなく、官邸主導で実行に移されていく。
大学の経営統合や再編、学長への権限の集中化、授業料の減免や給付型奨学金を出す大学の選定を行政官庁が行う等、およそ教育の理念や実態にそぐわない政治や経済の論理で、行われようとしている。(上記は、高等教育政策の分野のことであるが、初等中等教育の分野では、IT関係のことに注意する必要がある)

このようなことは、教育研究者が皆危惧していることであり、高等教育研究者の羽田貴史氏が、「教育学術新聞」(平成30年8月8日号)に「混乱に充ち、根拠なき最近の高等教育政策」と題して、明解に批判している。

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