新型コロナ後の学生生活

教育関係の情報誌「内外教育」の2024年6月7日発行の「ひとこと」欄に、下記のような短い原稿(コラム)を書いた。

新型コロナ禍の休校や遠隔授業を経験した大学生は、今どのような学生生活を送っているのであろうか。2023年10月に実施された全国大学生協組合連合会の学生調査(104大学・9832人)のデータから見てみたい。/ 「昨年から全ての授業が対面授業になり、ようやく大学生活を謳歌できているように感じます。好きな服を着て、自分の興味のある授業を綺麗な教室で受けることができ、この大学に入学して良かったなと思います」(4年女性).「様々な考えをもつ友人や同じ趣味をもつサークル仲間に出会えた」(3年男性)、「奨学金がもらえず、アルバイトと学業の両立に悩んでいます」(3年女性)。/ 授業は、「すべて対面」が54%、「両方・対面が多い」が33%で9割近く対面が主の授業を受け、ほぼコロナ以前に戻っている。大学生活の重点は「勉学や研究」と答える学生は33%と過去最多となっている。「豊かな人間関係」は16%と少ない。現代の学生文化は真面目化している。一方、サークル・部活動への参加率が60%と、コロナ以前の水準(68%)までには至っていない。アルバイトを現在している学生は、75%いる。1週間の就労平均は12時間。収入は1ヵ月平均5万円弱で、生活費にも充てている。今の大学の大学生活が「充実している」は90%ときわめて高い。「大学が好き」も93%と多い。/ 新型コロナ体制が終焉し、大学の日常が戻ってきた時の喜びを忘れず、対面の授業や友人関係、サークル活動の価値も再認識したい。私語がなく、集中して主体的に深く学べる遠隔授業の良さも生かしたい。/ 大学生の全体的傾向とは別に、大学の国公と私立の差、大学格差、地域差、ジェンダー、親の経済格差も気になる。デジタル環境も含め施設が貧弱で、教員の授業や業務負担が多く、学生支援も手薄で、授業料や生活費の為にアルバイトに明け暮れる学生の多い大学も存在する。様々な社会的格差の視点も入れた大学と学生生活の実態の解明と、その支援を期待したい。