アフォーダンスー排除ベンチについて

過去の私のブログに、アフォーダンス【affordance】について、「動物と物の間に存在する行為についての関係性そのもの」である。しかし近年、特にデザイン領域においては、「人をある行為に誘導するためのヒントを示す事」というような意味で使用される事がかなり多い」と書いた(2016年5月16日)。 このアフォーダンスの例のようなことが、「排除ベンチ」という形で現在あり、問題になっていることが、最近(5月25日)の朝日新聞に掲載されていた。

「座面が湾曲していたり、中央部に金属の棒が付けられていたり、腰掛けの奥行きが短かったり……。一目見ただけでわかりますが、とにかく座りづらい。そういうプロダクト(製造物)です」 「ホームレスのように、ベンチを寝床にする人をズルとみなし、その一部のズルを黙認するのではなく、みんなが少しずつ不幸になることを選んでいます」「これは生活保護をめぐる対応に似ています。『一部に不正がある。不正は許されない。だから、全体を厳しくしよう』というものです」(五十嵐太郎・東北大学教授)

この記事で、「排除ベンチ」があからさまに果たす機能(ホームレスをを排除する等)は、アフォーダンスそのもので、問題であるにしても目新しいものではないが、「生活保護をめぐる対応に似ています」という指摘には感心した。生活保護や、ジェンダーの平等や、教育の世界では奨学金やいじめ対策法案なども、一見、弱者を支援する方策のように見えて、実際は弱者を社会の中で排除する仕組みがその中に組込まれているのかもしれない。それを検証・暴露するのは、社会学、教育社会学の研究者の仕事だと感じた。

日米仏の論理構造の違いー生成AIに聞く

5月26日の朝日新聞の1面に「スパコン使いこなすAI, 未公開の研究提案に驚き」という題の記事が載っていた。 これは主に科学技術分野のことのようだが、人文科学の分野でも同じようなことが言えるように思う。ある分野の研究に関して、これまでの研究をレビューし、その先にどのような研究ができるか、研究者より生成AIの方が、優れたものを提案してくるかもしれない。生成AIは、過去の既存の研究を正確にレビューし、その先の研究に関しても独自性のあるものを提案してくるかもしれない。研究者にとっても大変な時代に入ったものだと思う。

生成AIに一般的な質問をすると、その分野の概要を整理して答えてくれる。質問する際に、少し回答の範囲を限定するような内容やキーワードを入れておくと、それにAIは反応し、既存のその分野の研究を参照し、限定した回答を寄せてくれる。その例を1つ示す。

名古屋大学の渡邊雅子教授の論理構造の国際比較の考察(https://www.jstage.jst.go.jp/article/taikaip/81/0/81_325/_pdf/-char/ja)を意識して、下記のような質問をしてみた。その質問と回答を以下に転載する。

質問―日米仏の考え方(論理構造)の違いを教えて下さい。「目的―手段の系列で結果から時間を逆向きに辿り原因を探るアメリカ。フランス革命の伝統があり、公権力の誤謬を正す論理性を身につけ、共和国の価値に合致した行動を至上とするフランス(弁証法的)、状況的判断を重んじ、感情を共有し、共同対型能力を重視する日本』という違いを聞いを聞いたことがあります。

回答 ChatGPT―日米仏の考え方や論理構造の違いについて、以下のように整理できます:アメリカの考え方;アメリカの論理構造は、しばしば「目的―手段の系列」で捉えられます。これは具体的な結果を目指し、目的を達成するための手段を論理的に構築し、そのために必要なステップを逆算して原因を探るアプローチです。このアプローチは、問題解決やプロジェクト管理などで多く見られます。結果志向であり、効率的で実践的な思考方法です。/フランスの考え方;フランスの論理構造は、弁証法的なアプローチが特徴的です。これはフランス革命の伝統に根ざしており、公権力の誤謬を正すことや、共和国の価値に合致した行動を重視します。フランスでは、対立する意見や状況の中で対話を通じて真理に迫り、問題を解決することが重視されます。理性的でありながらも、哲学的な深みがあります。/日本の考え方;日本の論理構造は、状況的判断や感情の共有、共同体の調和を重視します。日本文化では、場の空気や他者の気持ちを汲み取り、全体の調和を保つことが大切とされます。感情や関係性を重んじるため、論理だけでなく、文脈や人間関係が重要視されます。このため、柔軟であり、場面ごとに最適な対応をすることが求められます。これらの違いは、それぞれの国の歴史や文化的背景から来ています。アメリカは実践的で結果を重視する国、フランスは理性と哲学的対話を重視する国、日本は調和と状況判断を重視する国と言えるでしょう。

質問 英文(質問文は、ネットの翻訳)―Please tell us about the difference in the way of thinking (logical structure) between Japan, the United States, and France. “The United States, which traces time backwards from the result in the series of ends and means, and the United States, which has a tradition of the French Revolution, acquires the logic to correct the errors of public authority, and supremely acts that are in accordance with the values of the Republic (dialectical). I have heard the difference between Japan, which values situational judgment, shared emotions, and joint confrontational capabilities.

回答 ChatGPT―The ways of thinking and logical structures in Japan, the United States, and France reflect their unique cultural, historical, and philosophical backgrounds. Here’s an overview of these differences/Japan;Contextual and Situational Judgment: Japanese thinking often emphasizes context and situational factors. Decision-making is influenced by the specific circumstances and the relationships involved. This approach is less about rigid principles and more about adaptability and harmony.Shared Emotions and Group Consensus: There’s a strong focus on group harmony (wa) and consensus (nemawashi). Decisions are made with consideration of the emotional state and opinions of the group, aiming to maintain social cohesion and avoid conflict. Holistic and Indirect Communication: Japanese communication tends to be indirect and implicit, relying heavily on non-verbal cues and shared understanding. This holistic approach contrasts with more direct and explicit communication styles./ United States;Backward Reasoning from Results: American thinking often starts with the desired outcome and works backwards to determine the necessary steps. This pragmatic approach prioritizes efficiency and results.Correction of Public Authority: Influenced by a tradition of questioning and correcting public authority, this logical structure emphasizes accountability, transparency, and the protection of individual rights.Linear and Analytical: American logic tends to be linear and analytical, focusing on breaking down problems into smaller parts and addressing them sequentially./France;Dialectical Approach: French thinking is heavily influenced by the dialectical method, stemming from philosophical traditions dating back to the Enlightenment and the French Revolution. This involves a process of thesis, antithesis, and synthesis to arrive at a deeper understanding.Values of the Republic: French logic is shaped by the values of the Republic, emphasizing liberty, equality, and fraternity. Actions and decisions are often judged by how well they align with these republican values.Critical and Abstract Reasoning: There is a strong tradition of critical thinking and abstract reasoning. French intellectual culture values debate, critique, and the exploration of ideas from multiple perspectives.These differences illustrate how cultural backgrounds and historical experiences shape distinct ways of thinking in different societies.Understanding these variations can enhance cross-cultural communication and cooperation.