公益財団法人 の『授業における教科書の使い方に関する調査研究 研究成果報告書』(2024、1.31)の冊子(A4,200頁)を調査委員長の新井郁男先生よりお送りいただき、読ませていただいている。新井先生は、はじめに下記のように書かれている。
<団塊世代の大量退職により,若手教師が増えている近年の学校現場では,教科書の使い方がわからないという教師の存在が懸念されております。一方,教科書編集の現場からは,教科書の編集意図が現場に充分に理解されないまま使われていることを危惧する声が聞かれます。令和2(2020)年度からの新教育課程の実施,デジタル教科書の導入等の状況を踏まえ,教科書研究センターでは,教科書をめぐる学校現場の実態を検証し,すべての教師が,児童生徒にとってよりわかりやすく,より興味深い授業を実現するためには教科書をどう使えば効果的なのかについて調査研究を行っております。本冊子は,その研究成果の一端として,特に,若手の教師の皆様のために特定の教科について,新学習指導要領の趣旨に沿った教科書の使い方,その例などを示したものです。 本冊子を活用して,教科書をより効果的に使用していただければと思っております。 新井 郁男>
報告は多くの大学教員が中心で、それに教科書会社役員も若干加わり、現場教員も研究協力者になって、約5年をかけて調査研究された報告書で、読み応えがある。教科書の一般的な使い方だけでなく、国語、社会科、算数・数学、理科、外国語(英語)、道徳、教科横断、教員養成・研修といった「教科別にみる教科書の使い方」が、調査と事例をもとに分析されていて、読んでいて具体的な教科書の使い方がイメージでき興味深い。この報告書は、WEBでダウンロードして全文が読める。
授業における教科書の使い方に関する調査研究 研究成果報告書 (textbook-rc.or.jp)
さらに、その要約編が、わかりやすい挿絵や図表入りで、小学校編と中学校編に分けて、WEBで読めるようになっている。こちらが全国の小中学校に配布されているという。
日本の教科書は堅実に内容が充実して作られており、また教員用の指導書もあり、さらにこのような教科書の使い方の報告書や冊子が教育現場に配られていて、日本の教育の質が保たれているのであろう。