広島大学高等研究開発センターの思い出

広島大学高等研究開発センターが創設50周年を迎えるということで、私にも原稿依頼があった。私にも依頼があるということは、この50年間の多くの客員研究員に対して依頼がなされ、多数の人が書くものと思い、A4に1枚の短い「思い出」の文章を送った。

その原稿が掲載された冊子(『大学論集 第56号 2023年度別冊』(2023.7)が送られて来た。中をみて、びっくりした。執筆者は8名のみで、しかも私を除き有名な方(大崎仁、絹川正吉、市川昭午、山田圭一、黒羽亮一、有本章、関口礼子の各氏)ばかりで、しかも、皆長い歴史に残る読み応えのある論稿を書かれていた。まさに私は短い原稿で「末席を汚した」なと感じた。

冊子のはしがきに、小林信一・センター長が「今回は本センターに何らかの関係があった概ね80歳以上の先生に執筆をお願いした」と書かれていて、そんなこと聞いていない(あるいは見落としたのかもしれない。長さも自由と言われた。私は80歳にはなっていない)と思ったが、少数の掲載であることは納得した(いずれ、これらの優れた論稿は、広島大学のWEBでも読めるようになると思う)。

(以下、私の書いた「思い出」文章の一部を転載しておく)

大学で涼む

この猛暑で、暑さに苦しんでいる人も多いと思う。でも、自宅にしろ職場にしろ、エアコンの効いた中で過ごす時間の多い人は、猛暑もそれほど苦にならないのかもしれない。

私の場合、家でPCがあり一番過ごす時間が長い部屋にクーラーがない為、さすがに室温が30度以上になると扇風機だけでは耐えられず、クーラーのある部屋に避難する。そこで本を読んだりテレビを見たりするのだが、その日々にも飽きて、今日(7月27日)は、敬愛大学に行ってみた(自転車で20分)。

炎天下でも風が吹いているので、自転車で20分くらいはそれほど苦にならない。大学は全館、冷房が効いていて快適である。今学期は授業を担当していないので、顔見知りの学生が皆無で気楽である。大学の図書室には、新聞や雑誌や新刊書もあり、読むものに事欠かない。講師室では、お昼を食べながら、テレビで千葉県の高校野球の決勝戦を観る。共同の研究室では、4月に新しく支給された専用のPCで、この文章を書いた。

大学の図書館(室)や研究室は、大学教員にとってとても有難い場所だと思う。冷暖房が完備していて快適だし、本はそろっているし、PCやWifiの環境も整っているし、読書や仕事をするにはもってこいの場所である。

ただ私の場合、専任の教員の時は、その有難さはあまりわからず、自宅から遠かった(千葉→江古田、四ツ谷)ということもあり、休みの日にわざわざ大学に行くことがなかった。大学に来ている日には、次々と授業、会議、訪問客や学生が来て、図書室や研究室で本を読んだり、仕事をするということはできなかった。今の敬愛大学で専任の先生方を見ても自宅が遠方の人が多く、研究室の使い方はかっての私と同じ人が多い気がする。大学や研究室がもう少し活用されてもいいように思うのだが(涼むことも含めて)。