「教育社会学」は教育現場で役立つのか?

戦後旧帝大など主要な国立大学で講座のできた新興の分野の「教育社会学」は、今では教育学の中でも主流に位置づいていると思う。しかし教職科目の必修科目には入っていない。かろうじて選択科目の1つに入っているだけである(「教育に関する社会的、制度的又は経営的事項」の科目に「教育社会学」を置いている大学がいくつかあるが、「教育行政」などを設置している大学の方が多いと思う)。「教育社会学」は教職にはそれほど役に立つ科目と思われていないのであろう。教員養成を考えている文部科学省やその審議会の委員、また各大学の教員の認識がその程度なのかと、教育社会学の研究者はがっかりしている。しかしそれは教育社会学の研究者の努力が足りないせいかもしれないし、その研究内容が教育現場で役立たないことに、教育社会学の研究者は気が付かず、改善の努力もしようとしないせいかもしれない。

研究志向の強い旧帝大の国立大学では、現場の教員になっていく学生も少なく、教育の研究は志向しても、現場の教育実践への関心は薄い。教員養成を主目的にしている地方の国立大学や私立の教育学部では、上記のように「教育社会学」の科目が開講されていない大学が多い。またそこでは教員志望の学生は減少し続けている。このように教育社会学が教職の必修科目に入らない、教育現場に役立たない役立てようとしない状況は相変わらず続いている。

敬愛大学はこども教育学科が、2021年度より教育学部になり、「教育社会学」という科目が、2年生の必修科目になり、2022年度後期に私が担当した。教職を目指す学生に、実証性や批判的な観点の強い「教育社会学」の内容が、学生達にどの程度受け入れられるのか心配であった。敬愛大学教育学部のカリキュラムをみると、各教科の内容や指導法の科目が中心で、教科に関係のない科目は、生徒指導や学校カウンセリングのように現場で役立つもの、あるいは教育原論のように教員採用試験に出る科目以外は、少ないように思う。私の「教育社会学」授業の13回までは終わり、第13回は、教育社会学に関する学生の感想(理解したこと)聞いてみた。その検証はこれから。