久しぶりに東京に行く

新型コロナが蔓延してから、東京で開かれる会合もほとんどなくなり、私もこの3年間はほとんど東京に行っていない。住んでいる千葉を出て、人の少ない地方に家族と車で旅行することはあっても、人の多い都心に出ることをしていない(先日も「副田義也先生を偲ぶ会」が神田の学士会館で開催されたが、欠席している)。

今日は、久しぶりに上智大学に行く用事があり、バス・電車を乗り継いで都心の四ッ谷に行った。まずバスや電車に乗ることが久しぶりで、何かドギマギする。服装は大丈夫なのか、バスの乗り方や改札口の入り方(スイカの使い方)はこんなでよかったのかなど、全くのお上りさん状態である。電車に乗っている人の服装が、私の普段生活している千葉の人のそれと違い、洗練されているようにも感じた。四ッ谷駅で降りて、上智大学の構内に入り、行きかう学生の雰囲気がさすが上智という感じで、この学生達を相手に20年間、よく臆することなく(?)教壇に立ったものだと思った。

大学の事務で用事を済ませた後、学科の事務室に立ち寄り挨拶だけでもしようかと考えたが、それをするには少し覚悟とテンションが足りないと思い諦めた(同僚の香川教授が少し前、学科の事務室を訪ねたと聞いていたので少し心残りであったが)。上智の新しい建物と図書館と購買の本屋に立ち寄っただけで、上智大学を後にした。昔の職場を訪ねるというのは、いろいろな思いが去来し、ましてや昔の知り合いに会うにはそれなりの覚悟もいると感じた。

千住博美術館のこと

私は絵や美術館のことに関しては、全く無知だが、軽井沢でたまたま立ち寄った軽井沢「千住博美術館」には、いい印象が残っている。美術館のソファに置いたあった「軽井沢千住博美術館図録」には千住氏自身の絵に関する解説と絵が掲載されており、とてもよく出来た冊子で、氏の作風の変化(日本画から始まって、次々新たな境地を切り開いていく様子)が書かれていて、興味深かった。それを購入しなかったのが悔やまれる

千住氏の紹介のWEBサイト(【千住博】滝を描くアーティスト:代表作品「ウォーターホール」の解説や作品の価格について(https://p-art-online.com/artist/senjuhiroshi/)(しおり岡)を読んでみた。(下記に一部転載)。羽田空港でも数カ所展示されている、原価の値段は高額でも版画の値段がそれほど高くない、などのことを知った。

「千住博は日本独自の絵画技法を使用した、ダイナミックな滝や崖のモチーフで知られる現代美術家です。千住氏の作品は、ニューヨークのブルックリン美術館、ロサンゼルス現代美術館、サンフランシスコ近代美術館、富山県立近代美術館、東京の山種美術館、東京藝術大学、北海道の釧路芸術館などに保存されています。2011年には軽井沢に「千住博美術館」がオープンしました。」「ウォーターホールー滝のシリーズはタイドウォーターもありますが、ウォーターフォールが最も評価が高いです。白く流れる滝が描かれているシンプルな構図で、千住博の代名詞と言えます。千住博美術館の展示されている「Water Fall」は神秘的なアート体験ができる場として人気があります。原画は数千万円で取引されています。版画作品は大きさにもよりますが30万~80万円です。」「東京:羽田空港5作品―羽田空港ターミナル内には、千住 博氏制作のアートが数カ所展示されています。第2旅客ターミナルに、オブジェや絵画が展示されています。羽田空港は実は隠れた観光スポットで、ショッピングや食事、博物館、プラネタリウムと予想外にコンテンツは豊富です。無料で千住作品が見ることができるので、休日の美術鑑賞にピッタリですね。」

千住博『芸術とは何か』(祥伝社新書、2014)の中に、「有名な作家であろうと作品の大半は駄作と思た方がいいでしょう」(54頁)、「野球でも3割を打つ首位打者だって、7割は失敗しているわけです。画家の場合の、最高に良くても7割が駄作ということです」(55頁)という記述には驚いた。これは本当であろうか。他の分野でもこれは言えるのであろうか(有名な研究者が書く論文も7割が駄作、有名な話し手の話も7割はつまらない、と言えるのであろうか。なかなか斬新な指摘で、これは検証してみたいと思った。)

コスモス摘みを楽しむ

秋はあまり見に行く花はないように思う。コスモスの花くらいかもしれない。今日は天気がよかったので、家から車で30分ほどのところにある「佐倉ふるさと広場」(https://www.city.sakura.lg.jp/soshiki/sakuranomiryoku/event_kanko/4799.html)にコスモスを見に行った。春にチューリップを見に行った風車のある広場である。

広い畑一面コスモス畑で、綺麗であった。コスモスも風車とよく合う。コスモス畑の一画のだけであるが、バケツ1杯採り放題300円というので、3杯のコスモスを摘み花瓶に飾り、秋の花コスモスを楽しんだ。(1杯は根から掘り庭に植えた)。

中国の新型コロナ対策について

新型コロナの対策について、他の国との比較がなされることがあるが、実際の体験が報告されることは少ない。

友人で、以前から上海の同済大学で教員をしている秦政春氏が、2020年に福岡から上海に行った時の体験を、雑誌に寄稿している。その時は、福岡→上海の航空便はなく、皆成田経由で上海へ渡ったようだが、出発直前の成田での検査や陰性証明、検査員や飛行機の乗務員、航空職員全員の感染防備服の着用,上海に着いてからの3週間に渡る隔離生活など、日本と比べものにならない中国の徹底した感染対策の様子が、体験から詳細に語られている。いい文章で書かれていて、ドラマのシーンを見ているよう。「隔離生活」の心理が、体験から語られていて興味深い。

秦政春「不思議な年 2020年 そして2021年」(『アジア、文化、歴史 13号』2022年2月)

風の便り 48号

今も新型コロナの感染がそんなに減っているわけではないので、家族での旅行は出来ても、知り合いと一緒に旅行したり、会ったり、会合を開いたりできないでいる。その分、楽しい便りをもらうことは増えているように思う。

いつも月に1度送られてくる辻秀幸氏の「風の便り」は、昆虫の写真のカラーが綺麗で感心する。今回の48号は蝶や蛾が特集。小学生のころ、昆虫採集で蝶を採り、羽を傷めないようにピン止めをしたのを思い出す。蛾はさすがに集めなかった。(でも昆虫採集は、昆虫を殺して標本にするので、よくそのような残酷なことを小学生の頃はしたものだと思う)。

ブログの抜粋「教育、大学、文学、ドラマ、日常―教育社会学的考察」を辻氏にもお送りしたところ、読んでいただいたようで、丁寧な感想が寄せていただいた。その指摘は公開しても差し支えない内容なので、写真と一緒に掲載させていただく。