量的な調査から得られた数値に関する思いを書いておきたい。例えば、右に進んで成功する人の確率が50%で、左に進んで成功する人の確率が60%だと数字が出たとする。「左に進んだ人の方が成功する」と書くが、右に進んだ人が成功する50%を否定しているわけではない。数値を使わない理論派は論理だけで「左に進む方が正しい」と説く。
別の例をあげると、6割の水が入ったコップがあったとする。その水の量を見て、理論派は自分の論に引き寄せて、多いとか少ないとかいうが、量的な調査の人は「コップに6割の水が入っているという事実」を抜きに何かを論じるわけではない。ここが、理論派と実証派の違いである。
文部科学省は全国学力調査を毎年して、その都道府県別の平均点を発表して、その順位をめぐって一喜一憂したり、その背景を分析したりすることがあるが、この得点も一つの目安の数値であり、上の50%と60%の違いぐらいの意味しかないのではないか。ただ、コップの水の量を確認したように、各都道府県の学力試験の得点が何点であるかを押さえておくことは必要である(それを順位などでみると、わずかな差が拡大される)。
また量的な調査は、調査の過程でさまざまな誤差もあるので、何かを考える時の目安ぐらいに考えた方がいいと思う。(全国学力テストの学校別平均点の誤差については、 2014年9月6日 ブログに書いた。)