このところ韓国のドラマばかり見ている。そこで、今度は韓国の映画を見てみようと思い、韓国ドラマ「ある春の夜に」でヒロインを演じていたハン・ジミンが主人公を演じ、第38回韓国映画評論家協会賞で主演女優賞を受賞した映画「虐待の証明」(ミス・ペク)を、レンタルして観た。ドラマの紹介や感想は、ネットで次のように書いてあった。
<あらすじー母親から虐待され、捨てられて施設で育ったペク・サンアは、心に傷を抱えたまま生きていた。彼女は荒んだ生活を送り、周囲からは「ミス・ペク」と呼ばれ揶揄されていた。そんなある日の夜、サンアは道路の片隅で震えている少女ジウンと出会う。お腹を空かせたジウンの体は痣だらけで、誰かに虐待を受けているのは明らかだった。目の前の少女と過去の自分とを重ね合わせたサンアは、ジウンに手を差し伸べようとするが―。> <感想―①韓国の実話もの~虐待シーンは韓国ならではのリアルな描写で描かれてて、観てて辛かった ②警察の対応の無能っぷり、虐待親の腹正しさ、子供が傷つけられるのはきついなぁ、これを観て寝るのはムカムカする>(https://filmarks.com/movies/81176
私の見終わった感想は、あまりはっきりしたものでない。いくつかあげると,①テーマは子どもへの虐待で、事実に基づいた映画ということで、決して明るい内容ではなく、気分的には沈んでしまう映画である。②児童虐待が韓国でも日本と同じように社会問題になっていることがわかった。児童虐待をする親は、自分も虐待された経験があるという負の連鎖が示唆されている。警察や児童相談所の対応の遅さやいい加減さは、日本と同じように描かれている。しかし児童虐待の酷さ、警察の取り調べの凄さ(容疑者を殴っている)、刑の重さ(殺人罪が適用される)は、日本より韓国がより強烈のように感じた。③ 有名女優のハン・ジミンが、よくここまで、泥だらけの体当たり役を演じるものだと感心した。そしてハン・ジミンらしさも出ていたように思う。④ 映画としては、韓国らしく、また出演者の演技は上手で、バックの音楽も沈痛ながらよく、よくできた映画なのであろう。児童虐待を扱っている映画だが、もう少し別の観点からみた方がいいのかもしれないと思った。
(これは私の偏見も入っているかもしれないが)韓国人の国民性に関しては、「かなり粗野で、激情型で、しかも情が厚い」という印象がある。それがこの映画「虐待の証明」にはよく現れている。主人公だけでなく、脇役の刑事もその姉も粗暴ながら情が厚く、虐待された子どもを結局は引き取り大事に育てるようになる。韓国は、急速な近代化を果たし、生活様式は近代化し、ドラマ「ある春の夜に」に描かれているように、若い人はおしゃれで人柄もソフィスケートされているが、その奥底の心情には、情が厚く激情的なものが存在し、時々それが噴き出すのではないか。日本人もかってはそうであったが、韓国より先に進んだ近代化で、それが消えていったのでなないか。日本でも1950年代中頃から60年代末に吹き荒れた「大学闘争」の時は、学生がゲバ棒や火炎瓶を持ち、機動隊に立ち向かって行ったり内ゲバで殺し合ったりしていた。そのような激情は現代の日本の若者にはない。そのようなことをこの映画から感じた。