講演会やシンポの講師について

小学校の現場の先生から、「教育関係の講演会やシンポジウムの講師は、あまり現場教師が話を聞きたい人でないことが多い」ということを聞いた。 私の場合、これまで教員相手に講演を頼まれるということもほとんどなかったので、実害は及ぼしていないと思うが、本人はいい話をして聴衆が感銘を受けたと思い込んでいるが、実際は聴衆は白けていた場合も多いのではないか。

「では、どのような人の話を、現場教師が聞きたがっているのか?」と聞いたところ、いくつかの点が挙げられた。「今の教育政策がよくわかっている人」「教育現場をよく理解している人」「現場教師の困っていることの解決策の示せる人」、さらに「理論的背景のしっかりしている人」などである。要求水準がかなり高い。 具体的な人の名前を挙げて聞いてみたが、私の知り合いの人は、あまり高い評価ではなかった。ただ、これは、高望みではないとかとも思う。 講演会やシンポは、活字で読むのとは違い、直接話を聞けるというメリットはあるが、そんなに卓越した人がいるわけではなく、多くを期待すること自体が間違っているように思う。 それに、大学の授業と同じように、全ての人の期待に応える内容を話すことは不可能で、一部のわかる人にわかってもらえれば、それでいいように思う。

我々大学教師は自分が学生に話すことが多く、人の話を聞く機会は少ないが、聞く側に回った場合、1つでも新しいことが聞ければそれで聞いた甲斐があったと思うのではないかと思う。
若い教育研究者などが学会で話を聞きたいなと思う人は、最新の理論の紹介者や研究方法が卓越していて、それを学びたいなと思う人であろう.


シチズンシップ教育について

シチズンシップ教育の重要性に関して、ひところ盛んに強調された時期があったが今は、どうなのであろうか。学生の卒論や院生の修士論文のテーマでもシチズンシップ教育が取り上げられることが多かった。トランプの自民族中心主義やイギリスのEU離脱、ヨーロッパ各国の移民排除の風潮などで、グローバル化やシチズンシップ教育は廃れてしまったのあろうか。現状はわかないが、その理念は多文化教育的視点を含み、依然大切なことは変わりないであろう。今年の大学入試問題にも、グローバル・シチズンシップに関する文章が出題されているという(2019 中央大(国際情報学部)。なかなか含蓄のある内容なのでその一部を転載させてもらう。

According to Hong Kong’s Institute of International Education, “Global citizenship goes beyond knowing that we are citizens of the globe. It is a way of thinking and behaving. It is an outlook on life, a belief that we can make a difference and make the world a better place. Young people are growing up in an increasingly global context. Many will live, work, and study alongside people from all over the world. More and more people are traveling for work or for leisure. All forms of culture are shaped by global influences. Each decision we make as professionals, consumers, or voters has an impact on global society.” Oxfam, a global organization focused on overcoming poverty and suffering, identifies the following aspects as the constituent features of global citizenship. A global citizen is someone who – is aware of the wider world and has a sense of his or her own role as a world citizen;- respects and values diversity;/- has an understanding of how the world works economically, politically, socially, culturally, technologically, and  vironmentally;/- participates in and contributes to the community at a range of levels from local to global;/- is willing to act to make the world a more sustainable place.

One challenge to the concept of global citizenship is the apparently biological preference by humans to be loyal to their in-group: their own family, neighbors, and racial or religious communities. According to evolutionary biologists, this ethnocentrism has had an adaptive advantage in the evolution of humankind. However, it appears that at this time in history, it may be necessary for humans to rise above their biology and attempt, through their ability to analyze problems, anticipate outcomes, and forge solutions, to aspire to a more altruistic sense of values that embraces a sense of belonging to the world, not just to the village.

One way to develop global citizenship is through education. Schools and universities all over the world — Canada, U.S., Hong Kong, Singapore, India, Mexico, Australia, England —- have centers of global education and citizenship that promote the teaching of global values. Global citizens are inspired to think beyond the boundaries of place, identity, and category and act “as human beings to human beings.” However, it is important not to abandon the richness of the diversity of language, religion, and culture. If we globalized into a homogeneous unit, life would become less interesting. To imagine and work toward a better world that is united and diverse at the same time will require enormous creativity and passion.

音楽のテレビ・ドキュメンタリー番組 2つを観る

音楽のドキュメンタリ―番組には見ごたえのあるものが多い。それまで聴く気がしなかた歌手やグループやの演奏を聞きたくなる。最近も2つのドキュメンタリーを見た。

一つは3月20日の、サザンの桑田佳祐の「ひとり紅白歌合戦」。サザンの歌はほとんど聴いたことはないが、桑田が紅白出場歌手の歌をはじめて歌い、その歌のよさを自分のものとしている姿に好感がもてた。「かぐや姫の曲は『四畳半フォーク』として軽蔑していたが実際自分で歌ってみると完成度の高い名曲であることがわかった」などという感想が続き、他の歌手やグループの曲を桑田なりに理解し歌い上げる才能はたいしたものだと感心した。

<『桑田佳祐 大衆音楽史「ひとり紅白歌合戦」〜昭和・平成、そして新たな時代へ〜』:総合テレビ 3月20日(水)午後10時00~午後11時10分、桑田佳祐が2008年から昨年まで3回に渡って行ってきた白眉の企画「ひとり紅白歌合戦」。桑田はこのイベントで昭和の歌謡曲やグループサウンズ、フォークやニューミュージック、そして平成のJ-POPまで170曲余りをひとりでカバーし、紅白のパロディーを展開することで、壮大な音楽ショーを繰り広げてきた。これは、洋楽に憧れて音楽を始め、キャリアを重ねていく中で、改めて日本の大衆音楽のすばらしさを再発見したという桑田にしかできない離れ技であった。今回番組では、桑田が「ひとり紅白」の活動を通じて再発見した歌謡曲の魅力や先達たちへの思い、そしてその系譜に連なる「サザンオールスターズ」の知られざるエピソード、さらに桑田自身の新時代に向けた抱負までをも語ったスペシャルインタビューを収録。このインタビューを軸に、「ひとり紅白歌合戦」のえりすぐりの映像とともに、その世界をたっぷりお届けする。https://www4.nhk.or.jp/P5620/


もう一つは、初期のビートルズのドキュメンタリー(3月28日)。ビートルズのアメリカ公演で、はじめて白人と黒人が同じ席で聴くことができたこと、ジョンレノンの発言が誤解され、アメリカでの公演が危険になりその後スタジオ録音に移行したこと、ロンドンのビルの屋上の演奏が久々の最後の演奏だったことなど、知らないことが満載で、深夜の2時半まで観てしまった。

<ドキュメンタリー映画『ザ・ビートルズ: Eight Days A Week』が本日3月28日(木)深夜、午前0:45~午後2:35、NHK BSプレミアムで放送!ロン・ハワードによる、彼らの初期のキャリアを追った、高い期待を集めるバンド公認の長編ドキュメンタリー映画『ザ・ビートルズ: Eight Days A Week – The Touring Years』が本日深夜、NHK BSプレミアムで放送。https://www.universal-music.co.jp