現在、高校教師のことを調べている。
敬愛大学の客員教授で、これまで小中高の校長を務めたことがあるS先生に高校教師の特徴について話をうかがった。その時聞いたことをメモする。
1 小学校の教師は全教科教えるが、中学高校の教師はそれぞれ専門の教科がある。中学高校の教師は、教科担当の意識が強い。
2 小学校教師は、1つのクラスで、1回限りの授業をすることが多いが、中高の教師は同じ授業を数回繰り返す。
その為、小学校教師は、その単元が学習指導要領や教師の指導書にどう書かれているかを参照することが多いが、中高の教師は、最初その個所を教える時、それらを参照するにしても、その後は何回も教える中で自分流のやり方を確立し、それらを参照することはなくなる。
3 中高の教師は専門の教科意識があるとはいえ、その程度は中高で違っている。中学の教師は浅く広く教えるので専門教科意識はそれほど高くない。高校の教師の専門教科意識はかなり高い。それに社会科や理科では、その中が専門の領域で分かれている(世界史、日本史、政経、物理、化学、生物。地学など)
4 中学校に入ってくる生徒は能力も特性もさまざまであるのに対して、高校は入試があり、学力で輪切りされて、それぞれの学校には、能力も特性も同じような生徒が入学している。進学校と非進学校、普通科と専門学科で、生徒の特質は違い、それに対応して先生達の意識や行動の違いが、学校グループ(類型)ごとに違っている。
5 高校グループ(類型)間の違いは、現在も明確にあるが(進学校は受験や勉強中心等)、昔に比べれば、その差は小さくなっている。 かっては非進学校で、校内暴力や荒れがあったが、今は生徒は皆おとなしくなっている。
6 管理職が部活動の顧問等になることはほとんどない。部活動で実績を上げることは、その個人の名声を高めることになるかもしれないが、それで管理職への道が開けるわけではない。部活動の指導で名声の高まった人には、私立から誘いが来る。
7 学習指導要領を読む(参照する)のは、教科書の採択時と、年度初めの年間授業計画を書く時だけである。それも改訂があった時に参照するだけである。
それも自分の専門の教科のところだけで、総則は読まない。
8 教師たちは、学習指導要領より教師用の教科書の指導書の方をよく読む。教師用の指導書には、学習指導要領の該当する箇所に関してもわかりやすく書かれている。指導書には教科書をどのように使えばいいかが丁寧に書かれていて、指導書を読めば、わざわざ学習指導要領を参照する必要がない。
9 それに高校の教師はそれぞれの教科の専門家であり、教育現場で長年教えてきている。その教育現場の実情をよく知らない文部科学省の役人や大学の教師の作った学習指導要領は、一般論として正しいことが書かれているのかもしれないが、具体的に教育現場で通用するわけではない。教育現場では自分の専門的知識の方が勝っていると、教師たちは自負を持っている。