授業の記録(6月29日「教育原論」)

今日は11回目の授業で、あと今日も含めて4回行った後、15回目に試験をおこないます。それは7月27日です。試験は持ち込み可で、試験を機会に、もう一度テキストやプリントやリアクションに目を通して、教育について考えてください。
今日の内容は、【いじめ、愛国心、ふるさと]、というものです。あまり関係のない3題話のようにも思われるれるかもしれませんが、先週の教育の政策や行政の具体的な姿の検証です。実際はどうなのかということです。今の教育の政策や行政で、愛国心が奨励されたり、いじめの防止に関する法律ができたりしていますが、教育現場の実際はどうか、これから教員を目指す皆さんの意識はどうかということを問題にしたいと思います。

まず、前回のリアクションを見てください。新しい教育基本法で、郷土や日本を愛することが強調され、音楽科で日本のわらべ歌が多く取りあげられ,パン屋ではなく和菓子屋が教科書で登場するようになったということを説明しました。それが愛国心に関連するることです。今日は皆さん自身の愛国心のことも考えてください。
それから、いじめ防止に関連した法案に関連して、いじめの定義を説明しました。何がいじめなのか、リアクションに具体的にマンガで書いてくれた人がいて、感心しました。
いじめの定義は、いじめっ子(加害者)が言い逃れができないように、いじめっ子の意図ではなくいじめられっ子(被害者)の言い分(心理)から定義を行ったということです。これは弱者つまり被害者の側にたった定義なので、その意味で画期的なのですが、主観性(心理性)が強く、客観性が担保できるのかという問題があります。これを皆さんはどう考えますか。皆さんが加害者と決めつけられた時のことも考えてください。
これはセクハラやパワハラ(まだ皆さんはまだあまりなじみがないかもしれませんが)の場合も同じです。
またいじめに関しては、いじめられっ子に問題があるという意識が、根強くあります。これについても考えて下さい。
いじめで、被害者が自殺してしまうという悲惨なこともおきています。その際に遺書が残されていることもよくあります。いじめ自殺に関しては、さらに深い考察が必要で、どうしたら自殺を防げるのかも考えなくてはいけませんが、今日はそれに関しては資料だけ配り、考察は省略したいと思います。
次に愛国心のことも考えてみたいと思います。今ワールドカップのサッカーが盛んで、皆さんも日本のチームを応援して今日は睡眠不足の人もいるかと思いますが、サッカーの応援と愛国心は関連がありますか。
それと、自分の郷里(ふるさと)を愛するということと、愛国心とは関係があるのでしょうか。それを、いくつかの側面から考えてみたいと思います。
一つは、皆さんは千葉出身の人が多いと思うので、千葉県の特質を書かれた新聞記事を読み、郷土愛について考えてください。。
次に藤原新也の『私たちは国土と民を失った』(朝日新聞)を読んで、郷里と国との関係を考えてください。
最後に、西島央さんの童謡「ふるさと」に関する朝日新聞記事を参考に、ふるさとの4番を作ってください。

教育原論・第11回 リアクション(6月29日) いじめ、愛国心、ふるさと
1 前回のリアクションを読んでの感想
2 いじめの定義への感想(コメント)
3 「いじめの被害者にも問題がある」という意見について、どう思うか。
4 いじめの4層構造とは何か。
5 教師はいじめに対して何ができるか。
6 あなたは、自分の所属している集団に対して強い愛着を感じますか。
 1 強く感じる 2 まあ感じる 3 どちらともいえない  4 感じない
  何に対して強く愛着を感じますか→(
7 あなたの出身地はどこですか。その出身地に愛着を感じますか。それはなぜですか。
出身地→(            )    1 愛着を感じる    2愛着を感じない  
8 日本という国に愛着を感じますか。それはなぜですか。
    1 愛着を感じる    2わからない   3 愛直を感じない  
9 ワールドシリーズカップで日本のチームを応援することは、愛国心と関係がありますか。  
10  とてもある 2 ややある  3 わからない 4 あまりない  5ぜんぜんない
11 「ふるさと」の4番を作ってください。
12  他の人からコメントもらう
                                  )

リアクションの集計(回答数 42名 数字は%)

5 あなたは、自分の所属している集団に対して強い愛着を感じますか。
   1 強く感じる 28.6  2 まあ感じる 33.3 
   3 どちらともいえない 19.0  4 感じない 16.7
6 出身地に愛着を感じますか。
   1 愛着を感じる 78.6   2 愛着を感じない 16.7  
7 日本という国に愛着を感じますか。
    1 愛着を感じる 54.8  2 わからない 40.5  3 愛直を感じない 2.3
8 ワールドシリーズカップで日本のチームを応援することは、愛国心と関係がありますか。  
    1  とてもある 31.0  2 ややある 31.0  3 わからない 21.1
    4  あまりない 11.9  5 ぜんぜんない 4.8

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スポーツと年齢、仕事と年齢

スポーツの世界で活躍や活躍する人に我々一般人が惹かれるのは、スポーツが人生の縮図であるからであろう。
野球の試合を観て飽きないのは、9回までの試合が人生の縮図であり、また投手のバッター一人ひとりに対する配給やカウントにもドラマや,人生の優勢劣勢の縮図をみることができるからである。
また、最盛期を過ぎた選手が頑張っている姿は、特に同世代のものにとって、自分の姿を重ね共感を呼び応援したくなるのであろう(例えば長島茂雄の活躍に対する同世代の熱狂的応援)

ただ、勝ち負けのかかったスポーツの世界は厳しく、最盛期を過ぎた選手が出てもいいのか、疑問視されることが多い。
今の話題では、ワールドカップの日本のゴールキーパー川島 永嗣選手に関して、その間の試合のミスが指摘され、その顔つきが、往年の時の「いかつい顔の鬼のような生命力が落ちている」とも指摘されている。
勝負のかかったスポーツの世界はこのような厳しさは必要かもしれないが、一般の人の仕事や生活の部分はどうであろうか。

仕事の世界のプロ意識はスポーツと同じで、往年の緻密さや厳密さを欠くようであれば、即引退すべきかもしれない。
あるいは、アバウトが多少許され、高齢者の「まったりした(?)」で仕事ぶりが、勝負や緻密さとは別の効果をもたらされるのであれば、もう少し仕事を続けることが許容されてもいいのかもしれない。

高等教育の社会学

教育社会学では、昔はあまり高等教育の研究はなされていなかったが、21年前に教育社会学の研究者を中心に「日本高等教育学会」が出来て、それ以来高等教育の研究が盛んになっている。
最近の高等教育学会の紀要や発表題目をみると、マクロな制度的な研究が多く、私のようにマクロとミクロの接点にあることに興味があるものには少し興ざめだが、高等教育のマクロな制度に関する研究に関しては、教育社会学の研究者の発言が、一番説得力をもっているように思う。

今朝(6月27日)の朝日新聞の朝刊にも、現在教育社会学会会長の吉田文さん(早稲田大学教授)の「中教審部会が中間まとめ」へのコメントが掲載されており(下記に転載)、納得させられる。
<『2040年の大学、変わる姿 中教審部会が中間まとめ、焦点は 識者に聞く』
2018年6月27日、朝日新聞 朝刊より一部転載)

 ■乏しい新味、予算措置の提言必要 吉田文さん(早稲田大学教授〈教育社会学〉
 ――中間まとめの全体的な印象を教えてください。
 大きな社会の変化を踏まえ、長いスパンで高等教育のあり方を考える議論になると期待しましたが、何を構想しているか、わかりにくい印象です。
 私たちは大学教育のあり方がこれから大きく変わる、と危機感を持っています。例えば、学生を教室に集めて一斉授業を行うままでいいのでしょうか。教員は、専門的な知識の提供だけで済むのでしょうか。
 しかし、中間まとめは新しい内容にあまり触れず、「従来の施策を徹底すべきだ」という提言ばかりです。各大学に強みや特色を生かすよう求めていますが、高等教育システムの全体をどういう方向に持っていくのか、明確に示されていません。
 ――大学同士の連携・統合を促すため三つの案が示されました。
 三つの案も、これまでにも行われてきたことの延長上の内容です。新たな提案として「地域連携プラットフォーム」がありますが、地方自治体や地元産業界の力が強くない地域の大学ほど支援を必要としているので、どこまで効果があるのか疑問です。
 ――大学の機能分化の案も盛り込んでいます。
 機能分化(種別化)は大学の反発が強く、文部科学省では長い間タブーでした。小泉政権下の05年に中教審は「七つの機能」を示しましたが、国が押し付けるのではなく、大学が自ら選ぶという位置づけでした。一方、現在は私大の4割が定員割れし、産業界からも「大学が多すぎる」と指摘されています。今後、機能分化という形で、文科省から私大への介入が強くなっていくと思います。
 ――首相官邸が主導する有識者会議の提言も反映されています。
 官邸主導の会議では、教育をよく理解していない人が極端な提言をすることがよくあります。ですが、文科省や大学も世間が納得する論理で反論できていません。そんななか、中教審は官邸から来た政策を具体化させる機関になっているように見えます。
 ――大学にリカレント教育(学び直し)の体制を整えるよう求めています。
 方向性は賛成します。ただ、大学教育のあり方と同時に、学び直した人の社会での処遇についても再考が必要です。これからどんな社会が来るかわからないうえ、労働力も減っていくのですから。
 ――ほかに気になる点はありますか。
 改革には予算が必要ですが、「資金を充実させるべきだ」という表現がほとんど見られません。「公的支援が必要」と書く一方、「選択と集中」が強調され、印象が薄くなっています。答申では「これだけのお金がないと、改革はできない」と書いてほしいです。 (よしだ・あや 日本教育社会学会長)

授業の記録(6月15日、22日)

ここ2回の授業(敬愛大学「教育原論」 6月15日、22日)の記録を簡単に残しておきたい。

6月15日 科学の方法、教育の官僚制と教職の専門職性
   
リアクション
1 前回のリアクションを読んでの感想
2 因果法則を充たすための3原則とは何か。
3 組織の官僚制の特質をあげなさい。(プリント 「組織としての学校」、テキスト95-96頁参照)
4 学校が、官僚的特質を備えていない点をあげなさい。 その点をどう評価しますか(もっと官僚制化すべき、緩やかにすべき)
5 チームとしての学校の特質について説明しなさい。これからの学校が『チームとしての学校』となると教師の仕事はどのようになりますか。それについてどう思いますか。
5 他の人にリアクションを読んでもらいコメントをもらう。
(         さん)→
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講義メモ
先週の科学の方法(仮説の検証、理論)の話を補足したのは今日お配りした高根正昭『創造の方法学』の中に書かれている、「因果法則を充たすための3つの条件」です。これは先週の私の話のエッセンスですのでプリントを読んで理解を深めてください。
次に、学校について、官僚制ということを理解してほしいと思います。教育の規模が大きくなると、どこも同じようにすること=組織化、制度化が必要で、それが官僚制というものです。その特徴が、配布プリントの真ん中に書かれています。画一化、標準化、特化(専門分化)です。 企業や官庁がこの官僚制化ということがすすんでいますが、教育の世界学校という世界でも同じように進んでいます。ただ、教育の論理というのは、この官僚制に馴染まない部分があります。それがその後にあります。教職の専門職性というものも官僚制と違う論理です。皆さんが、教職の専門科目を学ぶのもこの専門職性の為、官僚制に流されない為です。
今、文部科学省が考えている「チームとしての学校」が、という考え方を説明します。これは、多忙な教師の仕事を軽減しようという趣旨と説明されていますが、教育の官僚制を進める方法でもあります。その内容を理解し、それに対してどう思うか、話し合っていただきたいと思います。

6月22日 教育に関する法制度と教育行政

リアクション
1 前回のリアクションを読んでの感想
2 日本の小学校数は  校、児童数は  名  教員数は  名
3 巨大な教育システムを運営するために、何は必要か。
4 教育の法律主義とは何か。
5 日本国憲法26条を記載しなさい。
6 2,006年に改正された教育基本法の特質(大きな変更点)は、何か。
7 日本の「6・3・3・4」制の学校制度をどう思うか。その理由
   1 このままでよい  2 わからない  3 変えた方がよい
8 「いじめ防止対策推進法」(2013年)について、どう思うか。
9 他の人からコメントもらう

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夏の研究会、公開シンポジウム

もうすぐ夏休み。夏には、さまざまな公開の研究会やシンポジウムが開催される。いくつか、記載しておこう。

〇 敬愛大学生涯学習シンポジウムー21世紀の生涯学習~「人生100年時代」の新たな学びのかたちー
日時 7月16日(月・祝)14時~16時 会場 敬愛大学3号館 3301
登壇者 熊谷俊人、牧野篤、岩永雅也、佐々木偉彰、明石要一
www.u-keiai.ac.jp/

〇第2回英語教師授業力 ブラッシュアップセミナーー小・中・高の英語教育改革に向けて今からできること - 学習指導要領の改訂を踏まえて」
日時 平成30年8月20日(月)・22日(水) 10:30~16:15
場所 敬愛大学 稲毛キャンパス3号館 
講師 向後秀明他
www.u-keiai.ac.jp/events/brushup2018/index.html

〇 SEガーデン夏合宿
   日時 8月21日(火)〜22日(水)
   場所  放送大学千葉学習センター セミナー室

〇 第36回 学校社会学研究会  
    日時 8月24日(金)〜25日(土)、場所 学習院大学
   (後日、プログラムは、ここにも記載予定)