東京学芸大学名誉教授の深谷和子先生が編集代表の『児童心理』2,018年2月号臨時増刊 NO1054は「子ども理解のための名著33冊」という題で、1 西洋の思想に学ぶ、2 児童心理学の古典の中から、3 日本の子育ての源流をたどる、4その昔の子どもの姿、5 新教育運動の子ども観、6 現代の子ども問題の理解へという分類で、33冊の本の紹介が、なされている。なかなか読み応えのある内容になっている。
私も小谷敏『若者論を読む』(世界思想社、1993年)の紹介を、下記のような視点で、書かせていただいた。
<子どもや若者の心性や行動と時代の変化との関係を、社会・心理学的に考察したものがある。それらは、優れた理論に裏打ちされ、実証的な検証を経ているものが多い。時代の様相や変化を敏感に感受しているのは子どもや若者であり、それらから新しい時代の変化や風潮を知ることもできる。その代表例として、本書をあげることができるであろう。さらに、本書が画期的なのは、言説研究という新しい視点で、時代と若者の心性や行動との関係を鮮明に解明したことである。>