教育社会学会参加記(その3)

私たちの「大学生文化研究会」からは、浜島幸司氏(同志社大学)が、『「部・サークル活動」からみる大学生文化の特質』と題して、大学生の4時点の学生調査のデータを、詳細に分析し報告した。
大学改革で授業重視が提唱されても、多くの学生たちは「部・サークル活動」に参加し、学生生活のなかでそれらの活動比重も低下することはない(60%前後)。部・サークルの活動状態で交友面、大学満足など変わる。「部・サークル活動」への関わりは、インフォーマルながらも、キャンパスライフを充実へと導く機能がある、という趣旨である。

今の大学改革が、学生の意識や文化とずれていることなどが明らかにし、学生の実態に即した改革への提案をしている。(当日配布レジメは下記)

2017[印刷配付版]教育社会学会報告スライド(浜島・武内)

教育社会学会参加記(その2)ー社会関係資本を獲得する場としての学校

古賀正義氏(中央大学)の発表『偏位する「社会的孤立」-内閣府若者WEB調査の分析から』を興味深く聞かせてもらった。
「ある場で関係から資源を獲得したいとする者は、担い手の供給する財(例えば、情報や技能など)を道具的に直接獲得するだけでなく、表出的な関係の維持によって、承認をえたり感情を交わしたりをしてそれを支えもする。この二重の過程こそ、資本の形成・獲得に多くの影響を与える。」
『ネットワークの場(例えば、サークル活動)への若者の参加が単純に社会関係資本の供給を促すというのではない。その場での同じ問題を抱えたもの同士の「同類的な関係」と指導者や相談者・ボランティアといった「異質な関係」との、相補的な関係性があって、社会関係資本をえることが可能になる.それゆえ、実際にはこの両者のバランスから、当事者に、場やその関係の選択が生じてくることになる』
「若者には、とりわけ家族(配偶者を含む)・学校を介した友人、地域の友だちの3種類の他者との接触が多くなっている」(配布発表レジメより転載)

古賀氏の発表は、社会関係資本やネットワーク論を使っての現代の若者の生活充実度や社会的孤立を防ぐ手立ての考察であり、いろいろ示唆される点が多い。

私が一番興味をもったのは、現代の若者が持続的な関係をもつものが「家族」に次いで、「学校を介しての友人」ということである。
学校という知識や技能の伝達・教育を主たる目的としている場で、友人関係は副次的な産物と考えられる場で、副次的なものが大きな意味(社会関係資本)をもつこと。学校は教師という仲間とは異質な存在があるからこそ、仲間だけからでは得られないもの(社会関係資本)が獲得できるということのメカニズムである。
これは学校の機能とも、また学校の潜在的カリキュラムということもできるが、学校が社会関係資本を獲得する場として機能しているという、重要な指摘だと思った。

『「同類的な関係」と「異質な関係」との、相補的な関係性があって、社会関係資本をえることが可能になる』ということからは、抽象的にいうと「横糸だけではなく縦糸があることにより何でも強くなる」ということかと思った。
たとえば、友人関係(横糸)も学校や教師(縦糸)があることにより強固になるので、街で友人を探しても見つからないということかと思った。学校や大学へ友人を探しに行くのは意味があることかもしれない。

台風と落ち葉

台風の怖さは場所によって違うかもしれない。
「近年にない最大級の台風の到来」というニュースが流れ、それ以上の被害になるところもあれば、雨風もたいしたことないところもある。後者の場合は幸いであったと喜べばいいのだが、近頃の災害予告のニュースは大げさなのではないかと、ニュースへの不信感も芽生える。
今週のはじめの台風も、関東は多少の雨と風だけでたいしたことはなくほっとした。家の周りの落ち葉を集め、その風情を楽しむ。

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