小説もそうだが、文芸批評も、自分の感受性に合うものと、合わないものがあるようだ。
最近読んだ本では、加藤典洋『村上春樹は、むずかしい』(岩波新書、2015年)の読みの深さには感銘を受けた。村上作品を読むのと同じような心地よさを感じた。
一方、これも有名な出版社の新書版で出された村上春樹の小説に関する本(題は伏せる)だが、読んでいるとイライラが募るだけで、その論理を追う気もなくなってしまった。
このふたりの著者とも村上春樹のファンだと思うが、この感受性の違いは何だろうと不思議に思った。それだけ、村上春樹の作品は、いろいろな読み方ができるということなのであろうか。