我々の研究会で、大学生の「生徒化」という概念で、大学生の実態を解明してきたが、次のようなことも、その表れではないかと、ふっと思った。
どこの大学、どの学生にもみられる現象というわけではないが、中高校生の時に見られた現象で、大学生でも見られる行為がある。
その一つは、授業中の「リアクション・ペーパー」(授業へのコメント)を書く際に、学生たちの中で、早く出来あがった「模範解答」が回覧され、それを写すという行為がみられるということである。これは、学生に勉強させよう、自分で深く考えさせようという教師の意図を骨抜きにするものなので、教師の側の注意が必要である。ただ、いつの時代も「教師は教えたがり、学生は遊びたがる」(潮木守一『キャンパスの生態誌』中公新書)ということが見られるということであれば、別に目新しい行為ではない。また、受講学生の中に連帯関係や連帯感がないと成立しない行為なので、どのクラスにもみられるというわけではないし、連帯感があるのは悪いことではない。
もう一つは、女子中学生にみられる現象の大学生版ではないかと思うことである。仲間同士で担当の教師を毛嫌いし、教師の指示や教え方に嫌悪や反発を示し、それをお互いに確認し合い、私語や無視で対抗しようとする態度である。これはそれほど多くあると思えないが、幼い大学1年生女子に見られるように思う(本人達は、それが幼い行動とは自覚していない)。そのような雰囲気のクラスで教える教師はかなりきつい。
大学という場は、教師と学生の「格闘」の場でもある。