本日(13日)、私の授業(敬愛大学「教育課程論」対象1年生)で教師用デジタル教科書(電子黒板)の実演を、専門家(東京書籍ICT部門)の方にお願いした。
3年前にも同じような実演をお願いしたことがあるが、デジタル教科書の内容が数段進歩していることがわかった。
実演を見た学生の感想からも、多くの学びがあったことが伺える。(一部抜粋) デジタル教科書の進化、便利さに驚く声が多かったが、マイナス点への指摘も見られる。
・デジタル教科書の存在は知っていたが、実際の機能やメリットを知らなかったので、今回詳細にみることができよかった。
・教科書を写すだけでなく、動画やアニメ―ション、教科書の本文加工など、便利な機能が多く驚いた。
・グラフを少しずつ見せ、変化をわかりやすく説明できたりする。入っている写真などもプリントアウトして、児童に配ることができる。
・時代と共に教育のスタイルや方法は、大きく変わるものなんだと思った。
・実際の授業の様子を見て、あ!電子黒板を使いこなせたら、授業はすごく楽しそうと思いました。
・数学などでも工夫されて面白い教育方法のものがたくさんあった。デジタル教科書で日本の子どもの学力は向上していくと思う。今日、受けた講義のようなことを私達が将来教えるということを考えると楽しみで仕方がない。
・学習者用のデジタル教科書も含め、教育システムとして機能するレベルに達するまで何年くらいかかるかが問題だと思いました。
聴講した卒業生からも以下のようなコメントが寄せられている。
<豊富なコンテンツに感動しました。教師の指導の幅を広げるにはうってつけの教具だなと感じます。
学部の学生もかなり沸き立っている雰囲気だったので、電子黒板に対してかなり肯定的なイメージを抱いているのだろうと拝察いたします。一方で、私は以下の感想を抱きました。
情報化の特徴に挙げられる「使用者が情報の取捨選択をする必要性」という観点から、教師の授業構想能力が多分に試される時が来たなという危惧も感じました。
ICT機器が身近に感じられる昨今では子供たちはICT機器から情報を享受することにさほど抵抗は示さないと思います。だから授業中にもプレゼンターの方が仰ったように子供たちは大きな関心を示し授業が回っているように見えるのでしょう。
しかし、あの豊富なコンテンツを他の教育手法(もちろん先生方が経験則に基づいて考案なさった教具もありましょう)と渾然一体となった状態で示した時に子供がその膨大に与えられた資料から必要な課題を取捨選択し、学習問題を達成しうる思考を身に着けることができるのか、情報過多なのではないか、と疑問には感じました。
そういうデメリットを総則にも載っている通りの指摘で克服することが肝要なのかもしれません。今まで以上に「教師が」その実態に応じて教材・教具を精選、また「適切に活用」し、子供に効果的に提示していく必要に迫られるようになるのでしょう。教師の教育に対する裁量が増すことはその個々の信念を実現するには望ましい傾向と考えますが、協調性・同僚性が重視されがちな昨今では、その選択肢の幅広さが同僚教師との協調性という観点と衝突し、働くうえで葛藤の火種にならないといいのですが。また、教材研究の時間は今までと比べてどうなったのかなど、現場の実際を知りたいなと思う授業でした。>