先週の「ジェンダーとカリキュラム」の授業で使った資料の中に、「男子問題」として、高校レベルの学力が女子に比べ男子の方が低いという指摘があった。そのことから、公立の男子校を作り、特別の教育をすればいい(それは差別にならないのではないか)と学生に話した。
女子高の方が、女子が男子に頼らず、リーダシップを発揮して、能力を伸ばすことができる場合がある。同様に、男女共学より男子校の方が、男子が女子に惑わされず(?)勉強や運動に専念できる場合があるのではないか。その特権を私立だけに認めるのは公平ではないと思ったからである。
学生から「公立の男子校はありますよ」とすぐさま指摘された。
調べてみると、宮城県に「仙台一高」はじめ5校、栃木県に宇都宮高校はじめ3校、埼玉県に浦和高校はじめ3校、山形県と群馬県にそれぞれ1校と、関東より北の方にかなり男子校がある。
戦後の高校3原則(小学区制、総合性、男女共学)が、西では徹底され、東では徹底されなかったせいであろう。
学力と男女共学・共学の関係を調べてみるのも興味深いであろう。その際には、公立と私立に分けて調べる必要がある。私立の男子校の学力の高いのは自明だが、それが私立のせいなのか、中高一貫校のせいなのかは検討されてきてはいるが、共学と別学の違いは、あまり検討されていないように思う。(東京の私立の御3家―麻布、開成、武蔵は男子校、
千葉にある私学・渋谷幕張は男女共学)
月: 2015年11月
冬の花2
冬の花
寒くなり、季節の花も交代の時期。水仙やパンジー類がこれから主役。
冬の花に関して、水沼文平さんより味わいの深いコメントをいただいた。御礼を申し上げたい。
冬の花を拝見しました。スイセンがもう咲いているのですね。私の故郷仙台ではスイセンの開花は4月になってからです。子どもの頃のことですが、春の彼岸に生花のないので、コシアブラなどの柔らかい木を菊花様に削り、赤、黄と着色した造花を代用していました。高度成長期に入った頃から生花のハウス栽培が増え、いったん姿を消しましたが、最近になって「けずりっぱな」(削り花)の復活を見かけるようなりました。
冬の植物の代表は赤い花や実です。ツバキやサザンカは、同じような赤い花をつけますが、ツバキは花ごと落ち、サザンカは花びらを散らします。その落花や散り様はまるで人の最期を思わせるものがあります。
ナンテンやボケも赤い実をつけます。最も印象に残っているのは、雪景色の中で最後に残った赤い柿の実です。11月下旬に柿をもぎ、「干し柿」(皮を剥いて干す)や「樽抜き」(焼酎をつけて密封し渋抜きをする)にしますが、カラスたちのために10個ほど残す習慣がありました。それがどういうわけか、雪景色の中で、梢に赤い柿の実がひとつだけ残ります。カラスも自然の恵みに敬意を表しているのでしょうか。
寒さが厳しくなってきました。散歩の時、真っ赤な花や実を見つけることを楽しみにしています。◇水沼文平
今週の教育課程論
今週(11月25日)の教育課程論(敬愛大学こども学科1年生)は先週に引き続き、ジェンダーとカリキュラムというテーマを扱った。
重要なテーマであることと、先週学生に充分に考えてもらう時間がなかったので、その補填をしようと思ったのである。
2枚の配布資料を配りその内容を最初に簡単に説明した。
それは、①ジェンダーとカリキュラムに関しては顕在的カリキュラムだけでなく、潜在的なカリキュラムに注意すること。②ジェンダー研究としては上野千鶴子が第1人者であること。③生まれてばかりの時、性別を誤認され、思春期にそれに気がついた時はどうすればいいか。④恋愛とジェンダーの関係も様々な問題があること。⑤女性の自立とはーマリリン・モンローとマドンナの違いについて、フィスクの分析から考えてみよう。⑤男子は弱者ではないのか等、少し「挑発的」な問題提起をしてみた。
その後、4人グループ(女1人、男3人が標準)を作ってもらい、下記の6つのテーマに関して、議論してもらった。学生達はかなり、楽しそうに、議論してくれた。。
(以下、議論のテーマ)
1 これまでに性(ジェンダー)による差別を感じたことはあるか(cf 木村, 多賀)
2 恋愛において、ジェンダー(社会的性差)は、どのように関係しているのか(cf、河野)
3 男女の違いは、生まれながらのものか、社会的に作られたものか(cf 上野)
4 女性が男性に支配されない生き方をするには、どのようにしたらよいか(cf フィスク)
5 男子は女子より弱い存在か(「男性問題」とは何か)(cf 多賀)
6 「ジェンダーに敏感な教育」とは、どのようなものか。(cf 多賀)
写真投影法2
今日の(2015年11月24日)の教職概論は、写真投影法を説明した。
学生が、教員になった時、この手法を使えると思った為である。
最初に、今日の課題として、「大学内で気に入っている場面、あるいはひと、もの等の写真を撮ったと想像してその絵を描き、それにコメントをつけて下さい」 (コメントの長さは自由20~100字くらい)という指示を出した。
本当は写真でできればいいのだが、時間も、機材もないので、簡便な方法をとった。(もしかしたら、スマホで写真を撮り、それを持ってきてもらえば、それを投影し、情報を共有できるのかもしれないと、後で思った)
次に、NHKの藤原新也の授業を、you tubeから見てもらい、感想を求め、それも参考にしてもらった。
写真投影法に関しては、下記の資料を配り、説明した。
受講生からは、かなり、面白い写真(絵)やコメントがあった。
配付資料
写真投影法1(出典http://applumeria.me/blog/20131204/)
まず始めに「あなたの人生において大切なもの」というテーマで写真に撮ってくださいと伝えるところから始めます。撮ってきてもらった写真をもとになぜその写真を選んだのかということを聞いていきます。写真というところがとてもユニークなポイントです。これは写真投影法と呼ばれるものです。心理学の分野では、心の中を言語化することで、分析であったり、カウンセリングが行われてきました。ただしその言語化する過程の中で失われてしまう情報があるのではないかという考えもあります。そうした考えから生まれたのが、描画法というものや箱庭療法になります。描画法では実際に絵を描いて表現してもらい、そこから分析を行っていく手法になります。その時々でテーマを与えられるのですが、「自分を描いてみてください」などといった指示をして絵を描いてもらいます。箱庭療法では、砂の入った木箱に準備したミニチュアを好きなように配置をして、自分の世界を表現してもらいます。どちらの方法も表現したあとに言語化されることがあります。描画法や箱庭療法では絵の上手い下手や、ミニチュアの制限、時間的制限がともされています。写真投影法はそれに次ぐ方法として、京都造形芸術大学の野田教授が1988年に考案した手法であり「写真による環境世界の投影的分析法」のことです。近年カメラの性能が良くなってきたことで、表現がしやすくなり、また絵の上手い下手や、時間的な制限を受けることなく心の中にあるものをビジュアルで表現できるとうことが利点です。僕の研究ではこの写真投影法を使って50人に「人生において大切なもの」の写真を選んできてもらっています。
写真投影法2(出典http://www.kwansei.ac.jp/s_sociology/attached/6324_52317_ref.pdf)
写真投影法(Photo Projective Method: PPM)とは、写真による環境世界の投影的分析法である(野田正彰『漂白される子供たち』情報センター出版局.1988)。この方法では、調査対象者にカメラを渡し、何らかの教示を与えて写真を撮らせる。そして写真に撮られたものを、自己と外界との関わりの反映と見なし、認知された環境(外)と個人の心理的世界(内)を把握、理解しようとする方法である。PPM は、環境学や地理学、心理学などの学問領域で注目されている。これは、これまで言語レベルでの測定によってしか知りえなかった撮影者の視覚的世界や心理的世界が、写真という視覚的データを介して垣間見られるからである。写真調査の教示―レンズ付きフィルムを渡し、「○○大学での1週間をこのカメラで撮影してください」と教示を与えた。写真ごとに、「何(を行っているところ)を撮影したのか」、「その時にどのように感情をもったのか」について記述するよう求めた。