講義型よりアクティブ・ラーニング ?

 今日(14日)の敬愛の国際学部の1年生のゼミでは、『スタディスキルズ・トレーニング』(吉原、間淵、冨江、小針著、実業出版、2011)というすぐれた本の内容を一部紹介した。
 その8章の「シラバスを使いこなそう」、9章の「講義の上手な受け方を知ろう」を使って、大学1年生が大学の授業を受ける際のスキルのエッセンスを凝縮して、かなり力を入れて話した。
シラバス通りの授業かどうかは教員によって違うこと。大学教員の黒板の書き方は、ノートを取るようには書いていないこと。したがって、ノートの取り方はかなり注意すること。大学の単位は、演習や語学を除いて、授業時間と同じ時間分の自学(予習・復習)の時間が含まれること。高校までの(怠惰な)学習態度で大学生活を過ごすと、後で後悔することが大きいこと、などを話した。

 ところが、聞いている16名のゼミ生の反応はいまいち。感心して聞くでもなく、目を輝かせるでもなく、メモを取るでもなく、どちらかというと退屈で、眠そう。

 そこで、方向を転換して、このテキストの10ページの自己紹介メモを参考に自己紹介を書かせ、それをもって、3分ずつで、次々人を変え、自己紹介を1対1でやってもらった。(これは、昔上智大学の教育学科のオリエンテーションキャンプでよく行われたもので、私もそこに加わったことがあるが、かなりキツイゲームという印象があった。)
 すると、学生はがぜん活気づき、皆とても楽しそうに自己紹介ゲームに没頭し、新しい学友との会話を楽しんでくれた。ゼミが終わっても、立ち去り難いという雰囲気が教室に流れたほどである。
 今の大学で、講義型ではなくアクティブ・ラーニングが好ましいというのは、このようなことを言うのであろうか?少し複雑な気分。

「敬天愛人」―敬愛大学の建学の精神を考える

 敬愛大学は、地方都市の小規模(2学部、1学年の定員400名)な大学であまり知られていない大学だが、そろそろ創立50周年を迎える。
その大学の建学の理念が「敬天愛人」である。
この言葉は、西郷隆盛の言葉で、「天を敬い、人を愛す」という意味である。敬愛学園の創始者の長戸路政司が、ある講演でこの言葉に出会い、西郷隆盛の研究に没頭し、学園を創設するときの理念としたという。南原繁による「敬天愛人」の書も、学内に掲げられている。
 新敬愛読本編集委員会編『新敬愛読本』(エルビス、2015年4月)という本が刊行され、全教職員、全学生に配布された。
 明日(15日)の敬愛こども学科2年生のゼミでは、少しこの本の内容を、学生と議論しようと、下記のレジメを作った。(要約及び討論の内容は俗っぽくなってしまったが、、)

『新敬愛読本』から考える           武内 清

1 大学創設理念の意義―①創設者の教育への熱い思い ②偏差値や世間の評判以上の意味
2 西郷隆盛について- 聖人君子になろうと生涯修行し、誠をもって生きた。
3 敬天愛人- 天の愛を信じ、わが身を愛すると同じように人を愛しなさい。
① 天とはー 道は天地自然の物。天は他人も我も同一に愛し給う。ゆえ、我を愛する心を以て人を愛する。天は人を一様に愛し、何ら上下厚薄の区別を付けず、敵も味方もなく、善人も悪人も問わず皆一様に愛する偉大な愛。(悪人を愛するが悪そのものは罰する)
② 愛とはー思いやり、慈悲(仏教)、隣人愛(キリスト教)、日本的な真心(誠)、自分に厳しく、人に優しく。克己。
4 敬天愛人教育―人間を万物の霊長という名にふさわしいものに成長させていく力

 討論
①  大学への誇りや満足度は何から生まれるか
②  尊敬する歴史上人物、作家、有名人はいるか。
③  天とは何かー天と神、自然、社会との関係は?  
       天災、祟り、罰(ばち)、誰も見ていなくても神が見ている?
④  社会とは何か - 国家や制度、組織、集団との関係は
⑤  悪人を愛するが悪そのものは罰するとは?
⑥  自分に危害を加える人を愛することは可能か。