大学教育と職業との結びつき

大学教育と職業との結びつきは難しい。
かっては、企業内訓練もしっかりしていたので、大学入試で計られた一般能力さえあれば、職業人としてしっかりやっていくことができたのであろう。
それが、今、不況で企業内訓練の余裕はなく、また職業で有用な知識も多様化、高度化している為、大学教育での対応が求められている。3つの方向があるという(金子元久氏による、「教育学術新聞、6月12日)
① 職業教育化(キャリア教育の充実、資格習得重視)
② コンピテンス(汎用能力)の育成―社会人基礎力、若年者就業基礎力、学び続ける力の育成
③ 知識技能、コンピテンス、人格形成を結びつける、学生の自主的学習の構築

私たちの研究グループの考えている「コミュニティとしての大学」もこれに近い。大学での多様な活動の奨励を考えている。

地方の私立大学の存在意義

大学の存在意義は、全国区や大都市の大規模な大学と地方の小規模な大学では、違っている。
同じ土俵で競争させられ、競争力が弱く、定員割れを起こしている大学に対して、文部科学省は「努力が足りない」と叱責し、補助金を減らし、果ては設置認可まで取り消したりするのは少し違うのではないかと思う。
大企業を優遇するのではなく、地方の中小企業を支援するように、地方の弱小大学を支援することも必要だ。それが、地方の若者の進学機会を保障し、学びを支えることになり、地方の活性化に繋がる。

その点を、新潟国際情報大学の平山雅夫学長が明確に述べている(教育学術新聞6月12日号)

<高等教育を受ける機会の地理的平等に一定の配慮をするならば、定員を割ったら支援カットするのではなく、人口減に苦しむ地域でも高等教育を受けられるようにすべきである。(中略)そうしないと地域から私大は消え、若者もいなくなる。教育は競争によって淘汰されてよい産業ではない>

科研費の配分額(平成25年度、私立大学)

文部科学省がこのほど発表した平成25年度科研費補助金の配分額の私立大学分が、「教育学術新聞」に掲載されていた(6月12日号)。
それによると、配分額の上から5位の大学は、①慶応義塾大学(961件、配分額3、232,190)、②早稲田大学(851件、2、554,500)、③立命館大学(480件、1、154、790)、④日本大学(563件、1,036、750)、⑤東京理科大学(312件、921,050)である
医学部や理系の学部があるところは、1件の額も多いので、配分額が大きくなるが、採用件数をみても、この順位はほぼ変わらない(3位と4位は入れ替わるが)。(早慶がダントツに多い)。
その下の大学を見ると、10位同志社大学(251件)、11位明治大学(251件)、、12位関西大学(257件)、13位法政大学(204件)、14位上智大学(151件)、18位中央大学(177件)、19位立教大学(145件)、20位学習院大学(94件)、27位青山学院大学(94件)、90位国際基督教大学[55件]、127位武蔵大学(24件)などとなっている。
同じ偏差値(入学難易度)同士の大学でも、この科研費の配分額はかなり違っている。科研費の額は、その大学の研究水準を表すものであろう。学生の大学及び大学院選びの参考になるであろう(特に後者)。
敬愛大学は、750の私立大学中271位(7件、金額15,340)で、地方の小さな大学の中で、なかなか健闘している。