吉本隆明の文章に、雑魚について書いたものがあったように思う(今手元に本はなく、確認できないが)。
その趣旨は、大きな目の網を持っている漁師が雑魚を狙っても雑魚が網の目の間から抜け出し獲れない。雑魚を獲できるのは、雑魚用の小さい目の網を持っている人に限るというものである。
漁師たるもの大きな魚を自分の荒い目の網で獲るべきで、雑魚など狙うべきではないというものだ。(ただ、大きな魚を獲る漁師と雑魚を獲る人に、優劣はない)
つまり、自分の専門外のことにむやみと口を出したり、頭を突っ込むことはしない方がいいという忠告である。
専門という隠れ蓑を使いそこに胡坐をかき外からの監視を拒むというのは、もちろんよくなく、部外者や素人が外部審査に入ることも時に必要だが、専門家はその分野に専念して長年やってきたものに、素人が軽い気持ちで参入しても、やはりかなわないのではないかと思う。これは政治や芸術の分野でもいえるのではないか。