小学校の現場の先生から、「教育関係の講演会やシンポジウムの講師は、あまり現場教師が話を聞きたい人でないことが多い」ということを聞いた。 私の場合、これまで教員相手に講演を頼まれるということもほとんどなかったので、実害は及ぼしていないと思うが、本人はいい話をして聴衆が感銘を受けたと思い込んでいるが、実際は聴衆は白けていた場合も多いのではないか。
「では、どのような人の話を、現場教師が聞きたがっているのか?」と聞いたところ、いくつかの点が挙げられた。「今の教育政策がよくわかっている人」「教育現場をよく理解している人」「現場教師の困っていることの解決策の示せる人」、さらに「理論的背景のしっかりしている人」などである。要求水準がかなり高い。 具体的な人の名前を挙げて聞いてみたが、私の知り合いの人は、あまり高い評価ではなかった。ただ、これは、高望みではないとかとも思う。 講演会やシンポは、活字で読むのとは違い、直接話を聞けるというメリットはあるが、そんなに卓越した人がいるわけではなく、多くを期待すること自体が間違っているように思う。 それに、大学の授業と同じように、全ての人の期待に応える内容を話すことは不可能で、一部のわかる人にわかってもらえれば、それでいいように思う。
我々大学教師は自分が学生に話すことが多く、人の話を聞く機会は少ないが、聞く側に回った場合、1つでも新しいことが聞ければそれで聞いた甲斐があったと思うのではないかと思う。
若い教育研究者などが学会で話を聞きたいなと思う人は、最新の理論の紹介者や研究方法が卓越していて、それを学びたいなと思う人であろう.