昔、指導教授の松原治郎先生が「1時間の大学の授業より1回の講演の方が楽だ」とおしゃっていたことがある。大学の授業は24回分を話さなければならないが、講演はそれを1回で話せばいいから、ということのようだった。講演の方が、聞き手に聞く意欲があるし、私語はないし、話しやすいということはある。
私自身は、あまり講演の経験はないが、成功した講演と失敗した講演がある。失敗した講演は、今もトラウマになっていて、大分昔のことなのに、思い出して苦い思いをする。今も失敗して、心痛むのは、千葉の高校で千人近くの高校生を相手に話した時である。その前に、千葉の小学校のPTA相手の講演で、大学の講義のような形式で話をして成功したので、そのような形式(レジメを配りそれを使い話す)で話したところ(内容は大学進学の話だったと思う)、途中から飽きられ、私語が多く、収拾がつかなくなった。千人の高校生相手に話をする覚悟が、私の中になかったのである。今なら、もう少し工夫が出来たはずだ。