虹の上をとぶ船

 敬愛大学の卒業生何人かから、「特別支援学級で教えている」や「今度特別支援学級の担任として勤めることになった」という話をきく。私自身は、長く教育社会学を学びながら、これまで特別支援教育に関して関心を持ったり、その実際を見たことがほとんどない。「発達障がい」についての知識もない。

最近読んだ村瀬学『宮崎駿再考』(平凡社新書、2015)の中に、養護学級での実践に関して、教えられることがあった。

ジブリの『魔女の宅急便』の中に出てくる「ウルスラの絵」のモデルが、養護学級の版画だという。

http://blog.canpan.info/huzokushien/archive/380

宮崎駿に感動を与え、絵のモデルにした版画「虹の上をとぶ船」を制作した八戸市立湊中学養護学級の実践(坂本小九郎指導)に関して、村瀬学は次ように説明している。

1 みんなで、童話や神話を読む。2 童話や神話の星座の生き物を意識することから、大胆な構図を生む。(生徒たちの見えざる力を引き出す)3 皆で絵を持ち寄り、どの一人の絵も欠けないような物語を作る。4 先輩の絵を引き継ぐ。5それを版画という根気よく彫刻刀で彫るという作業で完成させる。

「おくれ」や「障害」と呼ばれてきたものは、「定型」からの「はみ出し」の形と見なされるのであるが、人間という生命体が、古代の地球が動きに感応する為に「はみ出し」たり「変形する力」として働いたもので、きわめて「正規」の形である、と村瀬は解釈している。それだけ、根源的なものであり、感受性の強いものと考えてよいであろう。その為、それを見た凡人は、失ったものを思い出し、感動するのであろう。

昔、宮城まり子の「ねむの木学園」の子どもの絵の見た時の、感動も忘れられない。これも同様のものであろう。http://www.nemunoki.or.jp/