教育(社会学)の研究で必要なこととして、①海外の研究動向に常に目を配り、最新の研究動向を押さえておくこと、②現場の現実を確実に把握し、実証的なデータで検証することの2つをあげることができるであろう。
これまでの日本の教育(社会学)研究が、「欧米の研究の内容を日本に適用することはあっても、その妥当性を日本の学校教育の現場に即して検証する試みがどれだけ重ねられたでしょうか」(馬居政幸)という指摘は、②を強調したものであろう。
しかし、逆に日本の現場を検証するのに、理論なくして自分の見方や感覚だけで検証を進めると浅いものになってしまう(①も重要、自己反省を含めて)。
今回の学会報告で、①に関連して古賀正義氏の報告に教えられたことは、ありきたりの(?)日本の若者調査のデータを、グラフベッターやリン(Lin,N.)の「社会関係資本」という海外の最新の理論を適用して解釈することによって、新しい知見を引き出していることである。
優れた理論は、研究者のデータ解釈を研ぎ澄まし、実証を堅実なものにするのであろう。