海外体験について

子どもたちの海外体験は、いつの時期にどのような形で行うのが、効果的なのであろうか。私はこの分野には疎く、あまり語る資格がないが、少し考えてみたい。
一つは幼い時あるいは若い時期の海外体験ほど、効果があるのではないか。うちでは
中1の長女と小5の次女が夏から1年間、私の在外研究(wisconsin ,madison)に同行し、アメリカの学校に通ったが、小5くらいまでが、ネイティブのように語学を学ぶ限度のような気がした。
二つ目に、主体的参加の大切さ。南山中高の教師で、生徒の海外でのホームステイも担当している上智の卒業生の和田徹也氏より、最近の実践報告(「年報」)を送っていただいた。それは、ホームステイ先で、家族の名前の由来を尋ねるというプロジェクトの報告で、子どもの名前を付ける時の考え方が、日本とオーストラリアでかなり違い(たとえば、オーストラリアではあまり意味を考えず、音(発音)を重視するなど)、日豪の文化の違いに、生徒たちは自ら尋ね、思いをめぐらしたというもの。高校の時の海外でのホームステイ体験は、2週間ほどの期間とはいえ、異国で自力ですべて主体的にやっていかなくてはならず、生徒に大きな影響を与えていることがわかる。
三つ目に、大学時代に海外に行くというのは、どうだろうか。留学は効果があると思うが、短期の海外旅行や教師の引率する海外体験(旅行)では、よほど工夫しないと、受身で何も主体的な活動や意識ははたらかず、多少の見聞は広がっても効果は薄い形で終わってしまうのではないか。
ただ、海外の大学で4年間過ごすと、日本に帰ってきてからの適応が難しいとも聞く。日本の学部教育、学生文化は独特なものがあり、そこで学んだ潜在的カリキュラムは、その後の日本の企業や社会の中で生きていくのに、必要な態度を身にさせているという。日本で将来生活するのなら、留学は、学部時代ではなく、大学院時代の方がいいという説もある。
しかし、これは、今は違うかもしれない。これからのグロバル化した社会の中で、子どもたちにいつ海外体験をさせるのか親たちも迷う時代である。