歴史に通じていると散歩や観光が、とても豊かなものになるであろう。知り合いのMさんが、今日は浅草の歴史散歩をした報告を送って下さった。とても優雅で文化の香りがする散歩だと感心した次第。その一部を転載させていただく。
浅草探訪は11時雷門集合、待乳山聖天⇒今戸神社⇒(昼食)⇒吉原⇒山谷⇒三ノ輪(都電荒川線)⇒17時王子というコースでした。
人でごった返している浅草寺の観光客の大半は中国人ですが、中にはマレーシア人やラテン系の団体も見られました。早々に人混みから逃れて待乳山聖天に向いました。司馬遼太郎の「峠」の情景ですが、河井継之助が待乳山聖天からの眺望を楽しんでいた時、吉原方面に上がった煙を見て、馴染みの太夫の所に裸足で一気に待乳山を駆け下りるというシーンを思い出し、血の気が多く、情の深い、生身の継之助を感じました。
次は今戸神社です。同じく司馬遼太郎の「胡蝶之夢」からですが、この神社は上野戦争の時に戦傷者が運び込まれました。長崎でオランダ医師ポンペに西洋医学を学んだ松本良順が修羅のごとく怪我人を治療している姿を想像しました。ここはまた縁結びの神社で多くの若い女性が願いことをしていました。現代女性の憧れの的であるという新撰組の沖田総司が最期を迎えた地であることも面白い縁だと思います。
隅田川から吉原に向かう山谷掘が埋められ遊歩道になっています。見返りの柳を鑑賞し大門に向かいました。吉原では河合継之助が通った茶屋と遊郭を訪ねましたが、茶屋は交番、遊郭はホテルになっていました。吉原の区画はほぼ江戸時代のままで風俗店が軒を並べていました。「お歯黒どぶ」の跡では、吉原に売られ苦界に身を沈めた女郎が火事に遭い「どぶ」に妨げられて死んでいった怨念を想いました。
その後、樋口一葉記念館を経由して山谷に向かいました。労働福祉センターあたりに路上生活者がいましたが、外人向けの宿泊所が増え、時代の変化を感じました。三ノ輪から都電荒川線に乗り王子に行きました。王子で一日の旅を語り合いました