東書教育賞

今日(5日)、私も審査委員を務めている「東書教育賞」の授賞式があり、出席した。教育実践の論文の授賞式である。
東京書籍の千石社長、中央教育研究所の伊藤所長、谷川理事長、他各審査委員から、応募論文の内容に踏み込んだいいコメントがあり、受賞者代表のスピーチも心打つもので、教育論議としても充実したものであった。
私は下記のような通りいっぺんのありきたりのことしか言えなかったが、いろいろ勉強になった。

敬愛大学の武内と申します。審査にかかわった一人として、感想と受賞された先生方にお祝いを申し上げようと思います。
今の時代が反映した教育内容や教育方法の応募が多く、また選ばれたもののそのようなものなっていると思います。その時代的特性としていくつかのことを感じました。
第1は、学校と地域の連携が言われていますが、地域特性を生かした教育実践が多く見られました。小学校の淀野(よどの)先生の山形県の食農教育、窪谷(くぼのや)先生の黒めだかの観察・飼育も地域に根ざし、地域の資源をよく活用しています。
第2に、子どもたちの学びにおいて、アクティブラーニング的な、つまり主体的学習の重視。これは、すべての実践で感じます。中学校の新谷先生の国語の古典学習にしても、調べ学習、意見交換会、群読、創作など生徒の主体的な学びができる工夫をちりばめています。
第3に、子ども達のグループワークや共同学習の重視があげられます。多くの実践でみられますが、さらに中学校の下野先生のST(スモールティチャー)学習のように、出来る生徒が指導役を果たす試みも、生徒の学習が効果を上げていることがわかります。
第4に、IT,情報機器の活用です。デジタル機器は、工夫によっては、大きな効果を上げることが、随所で感じられます。
第5に、教科横断的な実践や教科と特別活動の組み合わせのような広がりのあるものが多くみられます。
第6に、学校全体ないし全学校的な取り組みです。今回、校長先生の応募が多かったように思います。小学校の三谷先生の学校全体での俳句作りで、クラスや学年対抗も取り入れ、学級づくりや学校の一体感に繋がる優れた実践だと思いました。
このように、教育現場も時代の流れや要請を敏感に感じながら、それに対応した実践を工夫していて、それは必要で、とてもいいことだと思います。
一方、各教科に特有の論理の上に立った教育実践も大切だと思います。今回の授賞のものでは、中学校の理科の運動単元を扱った若林先生の、実験実践がありますが、このようなものももっとあっていいと思います。教育には時代により大きく変わる部分と変わらない部分があり、また教科特有のものあると思います。
今回受賞された先生方の実践が、広く全国に公開され、日本の教育実践の水準の上がることを願っています。授賞された先生方、おめでとうございました。

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