本を贈られたり、送ったりすること

人から本を贈られるとうれしい反面、少し困惑する。その心情を書いておこう。
第1に、純粋にうれしい。本を買わなくていいし、苦労せずに本が手に入り、いつでも読める。その人が自分のことを気にかけてくれたこともうれしい。
第2に、でも、本を贈ってくれた人に、借りができたようで、少し居心地が悪い。
第3に、さらに、本の礼状を書かなくてはならないことを思うと、気が重い。今は、メールで礼状を書けばいいが、それでも少し読んだ感想も書かなければならない。忙しくて、送られた本を読む暇などない。手紙やはがきで礼状を書くのはさらに大変。「これからゆっくり読みます」とメールで送るのがせいぜい。
第4に、自分と同世代や若い人から本を贈られると、自分のまとまらない研究のことを思い、くやしく、心穏やかでいられない。

このように、人に本を送る行為は、送られたものに心理的ストレスを与えるので、なるべくやめた方がいい。
本は読みたい人が、読みたい時に、買えばいいのだから。
大学の紀要に書いた論文は、本人とせいぜいあと2〜3人が読むだけと聞いたことがある。それを本でしても、読む人はせいぜいその倍、つまり10人くらいではないだろうか。
それでも人に本を送るときは、自己満足と考え、礼状をもらうことや読んでもらうことを期待しない方がいい。