大学の研修で、共愛学園前橋国際大学の副学長(大森昭生氏)の講演を聞く機会があり、大変勉強になった。
同大学は、1999年に短大を改組してできた新設の大学であり、しかも前橋という地方にあり、さらに1学部1学科(国際社会学科)で入学定員225名の小規模の大学である。(http://www.kyoai.ac.jp/)
このように、定員割れを起こす3要素(新設、地方、小規模)を備えながら、応募者は増え続け、偏差値も上昇しているという。
その大学の改革や教育の様子を聞いて、その理由が納得できた。そのいくつかを記憶にとどめておこう。
第1は、その大学のモットーがよい。①学生中心主義、②地域との共生,③ちょっと大変だけれど実力の着く大学。これらは、建前でなく、確かな実践で裏打ちされている
第2に、教職協働で、大学が運営されている。教授会ではなく、教員と職員の合同のスタッフ会議で、重要なことが決まるという。
第3に、80%以上の学生が群馬出身で、70%の学生が群馬県内に就職するという地域特性が生かされている。地域連携、地域共生の実践がさまざまになされているのである。
第4に、アクティブラーニング(AL)が盛んである。授業の75%がAL関連科目である。(今回の講演の中心はここにあった)、中心に、この大学のアクティブラーニングやそこから生まれる学生の主体的な学びや活動があり、それが、学生の大学生活満足度や充実感を高め、、大学に誇りを持つ仕組みを作りだし、好循環を起こしている。
第5に、大学の入試戦略が、大学教育と連動している。つまり大学開設当初は、応募者は少なく、定員割れを起こしていたという。それでも、入学水準を下げず(推薦基準3,5を維持)、一般入試も厳しくして、その大学で教育できる学生を入学させたという。また、資格(たとえば英検2級)を持った学生を学生に、授業料免除の特待生で入れるも、入学後の高いGPAの基準をその学生たちに課し、勉強の意欲を高く維持させる仕組みを作っている。また成績優秀者の表彰制度があり、それで学生の勉学を鼓舞してる。
入学させる学生の水準を一定以上に保つことにより、大学の教育や教室の雰囲気をよいものにし、学生が熱心に学び、その大学で学ぶことを誇りに思うようになれば、その評価は自然と外部に伝わり、大学の名声も高まることになる。その逆に、学力の意欲もない学生を入学定員確保の為に入れると、それは黴菌のように学内に広がり、学園を荒廃させる。
上記のように、いろいろなことを考えさせられる講演であった。