テーマ 学校の社会的特質について
学校の社会的特質について、先週に引き継ぎ、お話ししようと思います。皆さんの先週の授業に対するコメントを読ませていただくと、私の話が抽象的過ぎるとか、難しいとか、もう少し教育現場に出た時役立つ話をしてほしいとか、そのような要望が少なからずありました。その点、私もご要望に沿うよう心掛けなければとは思っているのですが、ただ「教育社会学」という科目の特質上と、私の経歴(教育現場で教師をしたのは半年だけ)からして、それはかなり無理な注文で、その要望は他の教職科目で補っていただきたいと思います。教育現場を経験してきた先生方が、たくさん教職科目を教えていると思います。この科目(教育社会学)では、それとは少し違った見方を学んでほしいと思います。それは長い目で見れば、教育現場に出た時、役立つと思います。
先週は、最初に教育の社会学の方法やパラダイムに関してお話ししました。「機能主義」、「葛藤理論」、「解釈理論」、「批判理論」という4つの方法です。IMG_20160507_0003
次に、学校の特質について説明しました。一つは家庭と学校の機能の違い(家庭は子どもたちに「所属本位、個別主義、拡散性、感情性、取り換え不可能」という価値を教え、学校は「業績主義、普遍主義、限定性、感情的中立性、取り換え可能」)という価値を教えているということ。
もう一つは、学校の潜在的カリキュラムの社会的機能(たとえば、「学校で無意味な規則の黙って従う習性は社会に出たから施政者に都合のいい法律に従順に従う態度を養成する」、「退屈な授業に耐えることは社会の中の繰り返しの多い退屈な仕事に耐える態度を養う」など)について説明しました。
さらに、学校は、①カリキュラム(教科書)、②先生、③児童・生徒(友達)、④学習の場(教室)という4つの要素からなり、その重なりの部分に授業があり、そこが学校の中核だが、子どもたちは授業以外の要素からも多大な影響を受ける、ということを説明しました。
今日は、先週に配布したプリント(武内清「子どの学校生活」『子ども・若者の文化と教育』)を使って、それ以外の学校の社会的特について説明します。IMG_20160507_0002
具体的には、学校文化、教科内容、学校組織の特質、学級集団、一望監視システム、学校の階層的特質、教師―生徒関係、ホームスクーリング、教育家族、学校と子どもの今後などです。
これらの学校の社会的特質の考察から、学校とはそもそもどのようなところで、本当に必要なところなのか、子どもは学校に行かなくてホームスクーリングで学ぶという選択肢があってもいいのではないかなどということも考え、グループでも話し合い、発表していただきたいと思います。