4月16日のブログで、定年の過ごし方を紹介させていただいた松井さん(宮野木卓球愛好会のメンバー)より、英米の大学教授の過ごしたかに関する興味深い本(英文)の内容の紹介をいただいた。そのまま本人の許可を得て掲載させていただく。日本の大学教員の過ごし方への研究へも貴重な示唆になると思う。
「米(英)国大学教授の定年後」を読む 松井昭男
(原文Lorraine T.Dorfman著The Sun Still Shone-Professors Talk about Retirement,p.203) (1997年IOWA大学出版)
定年後の過ごし方については米国並びに日本でも多くの出版物がある。しかし大学教授の定年後について書いた書物としてはこれが始めてであろう。これは米国中西部にある州立研究大学、総合大学、人文系カレッジ並びに英国の伝統ある市立大学3校の定年を迎えた400人以上の人から聴取して纏めたものである。以下に簡単にその内容を紹介する。
1. 準備期間
精神的打撃を受けないよう早くから心的準備をする必要がある。
或る賢人が言うには明日への最も良い準備は今日を上手に生きることだという。定年を迎えた80%の人は定年後も専門職に付きたいと考えている。事実英国の或る化学者は84歳まで教えていたし、音楽専攻の老婦人は86歳まで音楽レッスンを又96歳の元文学部教授は看護病棟のべットの中でチョーサーやシェークスピヤを読んでいた。このように定年後も自分の専門の延長の仕事に付くことを望んでいる。
2. 何処に住むべきか
出来るなら住みなれた同じ街に住みたいと考えている。
3. 定年を迎える
一般に定年を迎えて最も良いことは自由な時間を持てることであるし
最も悪いことは最早教えることが出来なくなることである。心するべきことは何もしないでいることが最もいけなく忙しく何かをしているべきである。仕事を続ける場合、現役時の専門を生かして教育を続ける、研究を続ける、若しくはコンサルタント業をする等がある。
4. 仕事から完全に離れた場合
ボランティア活動の他余暇の過ごし方としては以下に示す。
オペラ鑑賞、楽器演奏、小説読書、料理、サイクリング、旅行、山登り、ヨット、ゴルフ、バードウォチング、ヨガ、ガードニング、専門外の勉強等
その他、著者はIOWA大学の社会科の教授で大学の加齢研究グループ長として永年活動している人である。
備考:インタビューした人の年収入についての記述があったので参考のために示すがなんか信じられないような数字である。勿論ばらつきがあり$1,000~$100,000の範囲であるが米国研究大学の平均$19,500、総合大学$17,000、英国の大学の場合、この数字の70%とのこと。