大学の実学志向、産学共同について

現在大学の研究や教育も実学志向が濃厚で、大学以外の実社会との連携が盛んに提唱されている。
大学教員も実社会の経験者が重宝がられ、現場経験が評価され大学教師として採用されることが多い。学生も実経験のある教員の授業を有難がり、また企業や教育現場でのインターンシップやボランティア活動かが、大学時代に一番役立ったと感想を述べることが多い。
今の大学では、学生の就職実績を上げようとキャリア教育に力が注がれている。産学共同という言葉は手放しで称賛される。
このことは、1960年末の「大学紛争(闘争)」を経験した世代からみると隔世の感がある。その時代は、公害問題で工学系が、そして薬害問題で医学や薬学の分野が、そして人文系でも大学の研究や位置が、社会の中で「加害者」の役割を果たしていないかが厳しく問われた。大学の産業界や政府との連携はタブーであった。
それに対して今は、大学の実学志向や産学協同が手放しに称賛される時代になっている。しかし現実をリアルに感じるということは、必ずしも現場との連携や経験が多ければいいというわけではない。

「産学共同」は、下記の新聞記事にある軍事研究のみならず、人文系の分野でも批判的精神を失い、学問の衰退を押し進めることにならないかと危惧される(ただこのことは、現実から遊離した論議にふければいいということを意味しているわけではない。)

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