私の大学院時代、「青年期の社会学」といったテーマでの演習を受講した副田義也先生(筑波大学名誉教授、86歳)がご逝去されたというニュースに接した。演習を受講したのは半世紀前、その後松原治郎先生の法事の折お会いしたのが40年前。その10年後くらいに、筑波大学の黄順姫さんの研究会で一度お目にかかっている。ご冥福を心よりお祈りする。
私の受講した先生の大学院の授業では、「演習のテーマ(青年)を意識して自分の研究テーマに関係づけて発表しなさい」という課題が出され、私は「生徒の逸脱行動」というテーマで、コーヘン(A.K.Cohen)の少年非行理論で日本の高校生の逸脱行動を説明する発表をして、厳しい先生から何を言われるかと、ドキドキしたことを今でも鮮明に覚えている。演習の後、他の院生と一緒に先生の新宿の行きつけの飲み屋でご馳走になったことも忘れられない。
先生は、社会学も幅広い研究をなさっており、福祉社会学関係のお仕事が主という印象があるが、漫画や歌謡曲の社会学のいう分野にもすぐれた論稿をたくさん書かれている。研究室の本棚には「少年マガジン」がいっぱいで、それを全共闘の学生にめちゃくちゃにされたというエピソードを読んだことがある。その後私の授業では副田先生の井上揚水の「傘がない」の分析や漫画「嗚呼、花の応援団」の分析(『遊びの社会学』日本工業社)を、よく学生に紹介させてもらった(2017年12月16日のブログ参照)。社会学の面白さを一番副田先生より教わったように思う。