5年に一人くらい、東大社会学科から卓越した社会学研究者が生まれるという話を聞いたことがある、橋爪大三郎氏(東京工業大学教授)もその一人であろう。多くの著作を出し、その話を社会学会で一度聞いたことがあるが、他の人と、オーラが違った。
橋爪氏の書いた書評「日本近世の幅と奥行き;『定本 上田秋成研究序説、高田衛著』」を読んだが、いい文章で、文学的香りに満ちていた。さすがだと思った(一部書き写して、勉強しておこう)。
「高田衛氏の文体は端然、透徹,創意に満ち、柔軟なバネのような弾力でためらいなく議論を思う方向に進めていく。江戸中期、政治や経済の選択肢が限られていた時代に、かえって思索の翼を自在に羽ばたかせた知性がいた。秋成という個性の解明でありながら、国文学の枠を越えた普遍的な視野を与えてくれる」 「縦横で実践的な精神。市井に生まれ権威と無縁に生きた秋成を通して、日本のプレ近代の幅と奥行きが照らし出される。後世に残したい秀作である」( 読売新聞・2012年12月9日朝刊)