知り合いの方から、三田文学に載った3作目の作品(小説)を、送っていただいた。
小林かをる 「ベジタブル・シューズ」 『三田文学』109、2012、春季号
『三田文学』といえば、確か、江藤淳が「夏目漱石論」で、論壇デビューした由緒ある雑誌。小林さんは、第5回三田文学新人賞佳作を受賞している。
私は知り合いに、作家や小説を書く人は、この小林かをるさん(ペンネーム)以外にいないので、少し緊張して読む。
最後の方の、一節を引用させていただく。とても現代的なテーマを扱った小説で、胸にズシンとくる。
そのうちに「これはベジタブルシューズなの。私ベジタリアンだから、これは私の主義なのよ」と誰かに告げる日がきっと来る。「お金がないから革靴は買えないの」と素直に言えなくなって「ベジタリブルシューズ」なんておかしな言葉を真剣に言わなくては生きる拠り所を失う日がすぐそこに来る。(118ページ)